国土交通省は2012年6月3日までに、建設労働者の社会保険加入率向上のため、建設業者が都道府県に営業許可を申請する際、雇用保険と健康保険、厚生年金の3種類の加入状況を記した書類の提出について義務付けをすることを決定しました。既に関係省令は改正されており、11月から適用となります。
2011年の政府調査によると、雇用保険と健康保険、厚生年金のすべてに加入していた建設業者は全体の84%で、労働者では57%に留まっていました。保険未加入の業者を放置すると、技能を持つ人材が建設業界に集まりにくくなり、保険料を支払っている業者が競争で不利益となるため、対策が検討されてきたといいます。
2012年5月28日、厚生労働省は低所得世帯への支援策を話し合う研究会の初会合を開きました。医療、介護、保育費や障害者の福祉サービス料の自己負担額を合算して、世帯ごとの上限額を設ける「総合合算制度」を検討する会合です。1年程度かけて、上限額の算出方法などを議論し、2015年以降の導入を目標としていますが、対象世帯の特定が困難である点などの課題が懸念されています。
総合合算制度は社会保障と税の一体改革で盛り込まれた低所得者対策の中の一つです。政府は2015年に導入予定の社会保障と税の共通番号を利用して低所得世帯の自己負担額を調べます。上限を超えた負担額は4000億円を使い、補助する方針としています。
現行の医療や介護制度でも低所得層向け対策として、住民税非課税世帯の保険料は軽減していますが、住民税非課税となっている対象者は約3100万人程度いるといわれ、総合合算制度を実現するためには対象者を絞り込む必要があります。研究会では、低所得層を特定するための基準を検討する予定とのことです。
協会けんぽは、平成24年度も保険料負担の抑制と、医療費・高齢者の医療費への拠出金の適正化のため被扶養者資格の再確認を実施します。おもに被扶養者解除の届出漏れを重点的にチェックするようです。
具体的には、24年5月末から6月末にかけて、協会けんぽより会社に被扶養者調書兼異動届に送付されるとのことです。
2012年5月17日、金融庁は企業年金の資産運用を行う生命保険会社による顧客への虚偽の運用報告などの違反行為への罰則規定を設けるため、保険業法を改正する方針を固めました。運用報告の義務付けも同法に明記するとのことです。AIJ投資顧問の年金消失問題を受け、投資顧問会社や信託銀行と並ぶ年金資産の運用受託機関である生命保険会社に対しても、同様の問題が発生しないよう対策を講じるといいます。
生命保険会社各社は、企業年金を団体年金保険として資産運用を受託しており、運用には、一定の予定利率を保証する「一般勘定」と、運用実績に応じて顧客の資産総額が増減する「特別勘定」の2種類があります。このうち特別勘定は、投資顧問会社が行う投資一任契約による形態に近いものとなっています。
現行の法律では、特別勘定についての運用報告義務の規定はなく、内閣府令が年1回の報告を求めています。投資顧問会社や信託銀行には虚偽の運用報告をした場合、最高6月の懲役または最高50万円の罰金を科す規定が既にありますが、生命保険会社の特別勘定については法規定がないため、違反行為への罰則もありませんでした。
厚生労働省は職業紹介・相談業務にあたる公共機関ハローワークの窓口を全国の大学に設置する方針を固めました。
専門相談員が500カ所の大学に常駐し、学生の就職を支援するようです。大企業や有名企業に目を向けがちな学生に、優秀な人材を求める地元の中小企業やベンチャー企業を紹介することで新卒雇用を底上げする狙です。政府が6月にまとめる若者雇用戦略に盛り込み、来年度の設置を目指します。
これを政府の若者雇用戦略の柱に据え、学生の就業体験を広める協議会の設置や実践的な職業教育の充実で産官学が連携することなどを盛り込みます。弱者雇用戦略に掲げた政策は来年度の予算へ編成に反映するとのことです。
政府が掲げる若年雇用戦略
若者雇用戦略骨子案の主な内容
【雇用のミスマッチ解消】
・大学内にハローワークを設置
【機会均等・職業教育の充実】
・就業体験を広めるための自治体や学校。労使が連携して協議会を設置
・奨学金や授業料減免の推進
【キャリアアップ支援】
・産官学で実践的な職業教育を充実
・社会人の学び直しに対応した大学や専門学校の整備