経済産業省は中小企業の経営力強化に向け、来年度から全国に200カ所の相談拠点を設置します。この相談拠点は、地方自治体と連携し、経営者が現場に詳しい税理士らと気軽に相談できる場を目的としています。また、育児で職場を離れた女性の復帰を促すため、中小企業でのインターンシップ(就業体験)を導入することとしています。来年度予算案の概算要求に盛り込む予定です。
相談拠点は東京都大田区の中小企業の支援センターがモデルとなっており、これまでの商工会議所や商工会に代わり中小企業経営者が税理士や先輩経営者らから実践的な知識を聞きやすくする拠点として、各都道府県に4〜5カ所ずつ設置されます。
インターンシップは、中小企業が結婚や育児で仕事を離れた女性を数週間から数カ月間、職場実習生として受け入れる仕組みで、経産省は受け入れ企業への助成を検討しています。人手不足となっている中小企業にとっても新たな働き手として期待できるようになることを目的としています。
また、製造業の技術継承を進めるため、経済産業省は「ものづくりマイスター制度」をつくります。金属技術や切削加工など次世代への継承が必要な分野ごとに高度な技能工を「マイスター」として任命し、若手指導を促進し、ものづくりを担う1万人の若手を育てます。
厚生労働省は雇用創出のために都道府県が力を入れる戦略産業の育成を後押しする検討をはじめました。来年度から大学に専門講座を開設して技術開発や人材育成を支援したり、金融機関が企業に低利で融資できるようにしたりします。失業給付中心の雇用対策を見直し、産業構造の変革による雇用創出を目指すそうです。
都道府県が企業や大学、金融機関による協議会を作り地域の特性に合わせた成長産業の育成計画を作ります。厚労省は、第三者委員会を設置し、応募のあった計画の中から雇用創出効果の高いものを選定し補助金を交付するとのことです。
厚生労働省は2012年8月16日、派遣切りなどで仕事や住まいを失った人に家賃を補助する住宅手当制度を、2015年度から恒久化する方向で検討に入りました。最長9カ月の手当支給期間中に再就職先を見つける人が多く、増加する生活保護費の抑制も期待できるためです。
同制度はリーマン・ショック後の雇用情勢悪化を受け、緊急対策として09年10月に開始しています。設置した基金から経費を出していましたが、12年度末にも財源が枯渇する見通しです。このため厚労省は基金方式から法律に基づく恒久制度に切り替え、国の予算で経費を手当てしたい考えです。
厚労省は、取りあえず13、14年度は基金制度のまま必要な経費を予算計上して延長することなどを検討しています。15年度から手当を恒久化するため、今秋にまとめる「生活支援戦略」で、方針の明記を目指します。
住宅手当は失業して住まいを失ったか、失う可能性のある人が対象です。東京23区の単身世帯では月5万3700円を上限に支給されます。ハローワークに通って職探しをしていることに加え、世帯収入や預貯金額に条件があります。失業手当を受けている場合でも、収入などの条件を満たせば住宅手当をもらえるとのことです。
北海道内の年金受給者に送付された8月分の「年金振込通知書」約70万通のうち、約4万通の振込先や支給額に記載ミスがあったことが10日、分かりました。すべて札幌市中央区と東区内の年金受給者で、他人の基礎年金番号や振込先、支給額などが記されていたということです。
機構によると、記載ミスがあったのは、8月の年金額に変更がある両区の受給者の一部に送った通知書。機構では、正しい表示の通知書を15日までに再送付し、記載ミスのあった通知書を同封する返信用封筒で回収する考えですが、いずれにしても8月分の支給は適正に行われるとしています。
通知書の印刷業務を受託した印刷会社はプログラムミスを原因に挙げています。誤った項目は、基礎年金番号や振込先の金融機関名、年金額などで、口座番号は記されていないということです。他人の情報が誤記載されていることについて、機構は「受け取った人には誰のものか特定はできない」と説明しています。
通知を受け取った人から「自分の指定している口座ではない」といった問い合わせが、9日に札幌市内の年金事務所や相談センターに相次いだため、機構が調べたところ、記載ミスが判明しました。
問い合わせは、電話だけでなく、直接相談に訪れた人も多く、同日だけで少なくとも700〜800件に上りました。これとは別に有料の「ねんきんダイヤル」へも多数の問い合わせがあったとみられます。
機構広報室は「ミスを指摘していただいた方々に交通費や電話代は出せず、申し訳ないと言うしかない。印刷業者には確認の徹底などの再発防止を指導する」としています。
厚生労働省は、市町村が運営する国民健康保険の保険料格差を縮小するために都道府県が給付している「都道府県調整交付金」の配分ガイドラインを改定しました。
他の市町村を支援する仕組みが原因で、地元住民の国保保険料が急上昇しかねない自治体に重点配分する方針をあげました。