建設業や医師などの自営業者が業種ごとにつくる国民健康保険組合の補助金
について、中小企業の従業員らが加入する協会けんぽの補助率に比べ、優遇
ぶりが目立つことから、見直す方針を決めたことが分かりました。
厚労省が実施した各省版事業仕分け「行政事業レビュー」の中で明らかにされ
ています。
また、見直しのひとつに、現在165ある国保組合のうちの16組合が、独自に行っている
「加入者とその家族の入院費・治療費の無料サービス」も含まれています。
ほかの医療保険にこうした無料サービスはありません。
ただし、無料化廃止の時期は、未定としている組合もあるようです。
31日には、専門家や労使代表でつくる「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」を立ち上げ、法制化を含めた方針づくりを進め、今後、内閣府とも連携し、具体的な検討作業に入り、11年度からの実施を目指すとのことです。
報告書では、仕事を持つ人たちが職場でのストレスなどから自殺するケースが増えていることから、うつ病などを早期に把握することが必要だとしています。そのうえで、職場での健康診断の検査項目に精神疾患を発見するための項目を加え、このための労働安全衛生法改正も検討しています。
精神科医らが産業医などを対象に、不調者を把握した場合は、労働時間の短縮や休業、職場復帰などの対応が適切に行われるよう研修を実施。その一方で、人事面などで不調者が不利益を受けないための配慮も必要だとしています。
厚労省によると、09年の自殺者数は3万2845人で12年連続で3万人を超えました。08年の約3万2000人のうち、うつ病が原因とみられる人は約6400人でした。
労災で顔や首に大やけどをした京都府の男性(35)が、女性よりも障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に反するとして、国の補償給付処分取り消しを求めた訴訟の判決で、京都地裁は27日「不合理な差別的取り扱いで、違憲」と判断し、処分を取り消しました。
瀧華聡之(たきはな・さとし)裁判長は「男性も顔に障害を受けたら精神的苦痛を感じる。性別による差別に合理的理由はない」と判断しました。男性の弁護団によると、労災の障害等級の男女差を違憲とした司法判断は初めてとしています。
労災保険法に基づく厚生労働省令では「外貌(外見)に著しい醜状を残すもの」として顔などにけがが残った場合、女性の障害等級を7級、男性を12級と規定しています。
7級は平均賃金の131日分が年金として生涯にわたり給付されますが、12級は156日分を「一時金」として1回支払われるだけで、給付金額に大きな格差があります。
判決によると、男性は1995年、京都府内の勤務先で金属を溶かす作業中に顔や腹に大やけどを負いました。地元の労働基準監督署は2004年、ほかの症状と合わせて、障害補償一時金の支給対象となる11級と認定しましたが、これを不服として再審査を求めましたが、国に退けられました。
判決はまず、接客が必要な仕事には女性が多く就いているとした国勢調査の結果から「外見の障害は女性のほうが不利益を被る」とした国の主張について検討し、不特定多数の人と接する仕事は「法務従事者」「音楽家」「理容師」など他にもあり、明らかな根拠とはならないと判断しました。
国の「女性のほうが外見に高い関心を持っているため、顔の傷による精神的苦痛の程度は大きい」との主張についても、性別によって大きな差が出るとはいえないと指摘し、重い外見の障害補償だけに性別差が設けられていることは「著しく不合理だ」と結論づけました。
厚生労働省によると、重い外見の障害等級の男女差は、1936年改正の工場法で定められて以降、見直されていないとのこと。同省労災補償部は「関係省庁と協議し、対応を決める」としていています。
鳩山政権は25日、6月にまとめる新成長戦略に、職業分野ごとに「段位」を設ける「キャリア段位制度」の導入を盛りこむことを決めました。肩書よりも実際の職業能力を重視することで、雇用の流動化を促すのが狙いで、導入すれば、「介護5段」など同じ職種内でスキルの差を明確にできるようになるとのことです。
「段位制度」は、イギリスの制度を参考にしています。イギリスでは、技術職や建設関係など約700種類の職種で、レベル1〜5の5段階評価をしていて、年間40万〜50万人が段位を取得しているそうです。
仙谷由人国家戦略相の「実践キャリア・アップ戦略推進チーム」で秋までに基本方針をまとめ、新成長分野として期待する介護や保育、環境などの分野には年度内に導入したい考えです。
厚生労働省は自営業者らが加入している国民健康保険の年間保険料上限額の
63万円(介護保険料分10万円を除く)の引上げ検討に入りました。
1993年度と並んで過去最大であった2010年度と同じく、引上げ幅は4万円程度
の見通しとなっています。
高所得者層からの保険料収入を増やすことで、中間所得者層の負担軽減につな
げ、国保の財政難を改善する狙いがあるようです。
近年、高齢者や非正規労働者の加入が増え、また、高齢化に伴う医療費増加に
より悪化の一途をたどる保険財政に対し、中間所得者層は、低所得者層の保険料
の軽減措置を受けられず、かつ、上限額に届く所得にも満たないため、負担感が
増していることになっています。
このため、中間所得者層の負担緩和のためには、上限額のさらなる引上げが
必要と判断されたものです。
また、協会けんぽの上限額(現行93万円)と同額とする意向を持っており、両健
保間の格差を段階的に縮めていく上でも、引上げは妥当とみています。
上限額を現在より4万円引上げ、67万円とした場合、年間所得ベースでは約
810万円で上限に達する計算となります。