厚生労働省は、知的障害者とエイズ患者が障害基礎年金を受給する際に、年金の
障害等級の認定基準を明確にする検討を開始しました。審査期間を短縮することで、
請求から支給開始までのスピードアップを図ることとしています。
これまでは、知的障害者の場合、1級の認定基準が「日常生活への適応が困難で、
常時介護を要する」、2級が「日常生活における身辺の処理に援助が必要」という両者
の違いが分かりにくく、判断を行うのに時間を要するとの指摘がありました。 同省は
てんかんやぜんそく、心疾患の認定基準についても、見直しを進めています。
障害基礎年金の認定については、日本年金機構が「請求から決定まで3カ月半以
内」と目標を掲げているものの、実際には平均で半年程度かかっているのが現状です。
「審査が遅い」という批判を受けて、今年の4月に担当職員を56人から97人に増やし
ています。
日本年金機構は11日までに、結婚退職などで厚生年金の加入期間が短かった人に保険料の一部を払い戻す「脱退手当金」(現在は廃止)について、支給漏れの可能性がある約14万3千人に「受け取っていないと思う人は年金事務所に申し出て」と呼び掛けるはがきの送付を始めました。 年金機構の管理記録上は脱退手当金をもらったことになっているのに実際には受け取っていない人の場合、記録を訂正すれば受給資格期間が延びて年金額が増えるためです。厚生労働省の試算では、最大で約8千人が記録訂正につながる可能性があるといいます。 年金機構は既に約6万5千人分を発送済みで、残る7万8千人分も近く送付するそうです。
脱退手当金は昭和30〜40年代に会社を辞めた女性が主に受給することができます。手当金の受取額に見合う勤務期間は厚生年金の加入期間から除かれます。支給漏れは事務処理ミスが原因とみられ、複数の会社に勤務した人に最後の1社だけの分しか支給しなかったなどのケースが考えられるそうです。 機構はこれまで脱退手当金の支給漏れを約19万2千人としていたが、その後に精査したところ約5万人減ったとのことです。
厚生労働省は9月8日、第39回社会保障審議会医療保険部会の議題「2.高額療養費制度について」の資料として、70歳未満の低所得者の負担上限を下げた場合に必要な財源について試算を示しました。
それによると、ボーナスを含む年収で約300万円以下(健康保険で標準報酬月額22万円以下)の世帯で、現在の月額約8万100円を、約4万4400円に上限とした場合、給付費ベースで約2,600億円(保険料が約1700億円、公費が約900億円)必要としています。
また、負担上限額引き下げのほか、
・世帯合算の合算対象基準額の引下げ、レセプト単位(医科・歯科・入院・外来別)で合算対象基準額を設定する取扱いの見直し
・暦月をまたがる場合の月単位での高額療養費の支給
・外来における現物給付化
・自動支払化など支給申請の簡素化
・高額長期疾病(自己負担1万円)の対象となっていないものの追加
など高額療養費制度に関する改善の要望をあげています。
高額療養費の概要は、こちら(協会けんぽHP)をご覧下さい。
旧社会保険庁年金相談センターの不適切な対応で、約3年半特別支給の老齢厚生
年金を受給できなかったとして、東京都中野区の男性が6日、この間の年金相当額な
ど計約417万円を賠償するよう、国に求める訴えを東京地裁に起こしました。
訴状によりますと、2004年11月当時この男性は61歳でしたが、年金相談セン
ターに相談したところ、職員から「被保険者期間が220か月のため、受給に必要な30
0か月に足りない」と指摘されました。
しかし、2008年1月に別の社会保険事務所に相談した際、学生等任意加入であった
期間が47か月、失業し妻に扶養されていたものの被保険者の届出をしていなかった
期間が36か月あり、受給権があったことが判明しました。
男性側は「職員は、学生だった時期や婚姻していた期間といった基本的事項につい
て確認すべき義務を怠った」と主張しています。
2日、日本年金機構は厚生年金基金の加入記録約4000万件のうち、約260万件で国の年金記録と一致していない可能性があることを公表しました。
このうち約180万件は年金額に影響するとみられ、さらに約半分の90万件は増額修正になる可能性があるとみられています。
厚生年金基金制度は企業年金制度の一つで、厚生年金の一部を国に代わって運用・支給しています。
国は年金記録問題の発覚を受けて昨年春から基礎年金番号や加入期間、標準報酬月額など国が保有する記録を各基金に提供するなどして、照合作業を進めていましたが、転職者などの記録を管理する企業年金連合会が今年5月までに確認した約2812万件について記録に約6.4%の不一致がありました。
この割合を各企業の基金が管理する分も含めた厚生年金基金の全記録(約4000万件)に広げて推計すると、約260万件が不一致ということになります。
企業年金連合会の記録では、加入期間や標準報酬月額が一致せず、記録を訂正すると年金額に影響するものが約4.5%あり、連合会の記録上の報酬月額などが国の記録より多いのが約2.3%で、逆に少ないのが約2.2%という結果でした。
すでに年金を受給している人の記録については、年金が減額になる訂正はしない方針です。