「雇用促進税制」を検討する政府税制調査会のプロジェクトチーム(PT)が12日、初会合を開きました。「雇用拡大を通じた経済成長」を掲げる菅直人首相が9月、政府税制調査会に検討を指示していたもので、雇用を増やした企業の税負担を軽くすることで、「雇用」の拡大を目指します。
雇用促進税制は、(1)健康や環境分野での雇用創出(2)非正規雇用の正規化(3)育児支援(4)障害者雇用の拡充−−が柱となっています。
PTは五十嵐文彦副財務相をはじめ、厚生労働省や経済産業省などの副大臣と政務官で構成されています。初会合では、厚労省から雇用情勢について報告を受けた後、11月中旬にも中間的なPT案を政府税調に示すことが確認されましたが、財政状況が厳しい中で、企業減税に振り向ける原資の確保は難題だとの意見もあるようです。これについて五十嵐氏は会合後の会見で、「大変難しい問題と認識している。知恵を絞っていくしかない」と述べました。
さらに、既存の雇用対策について「効果の薄い(雇用対策)事業がある」との指摘もあり、「非常に煩雑でたくさんの助成措置」(五十嵐副財務相)についての見直しも迫られそうです。
また、政府税調は同日、税と社会保障の共通番号制などを議論する納税環境整備PTの初会合も開催ました。11月中にも番号制度の導入案をまとめる方針となっています
厚生労働省は来年度(平成23年度)から、中小企業が定年を迎えた高齢者の継続雇用に制限を付ける場合、労働組合または従業員代表と労使協定を結ぶよう義務付けます。
今までは労使協議が成立しなかった場合は、特例として会社側が就業規則などで独自に再雇用の基準を決めることができましたが、高齢者の継続雇用制度について理解が深まったことから、特例を打ち切ります。
対象となるのは従業員数が300人以下の中小企業です。企業は60歳以上の高齢者について、(1)定年年齢の引き上げ(2)定年の廃止(3)延長雇用――のいずれかにより65歳まで雇用する必要があります。
延長雇用の場合、企業は雇用対象者を制限できますが、その基準については今後、会社側と労働組合または従業員代表とで協議し、労使協定を結ぶことになります。
厚生労働省は6日、2009年度の派遣労働者数が前年度に比べて24.3%減の約302万人だったと発表しました。減少は5年ぶりで、減少率は労働者派遣法の施行をきっかけに集計を始めた1986年度以降で最大となり08年秋の金融危機に伴う景気の低迷で、製造業を中心に雇い止めが増えたほか、規制の強化を踏まえて派遣契約を見直す企業も増加したようです。
派遣事業をしている7万1560社の報告をまとめた労働者派遣事業報告(確定値)で明らかになりました。
日雇い派遣を含め、派遣会社にあらかじめ登録して、仕事があるときだけ働く「登録型」の派遣労働者は206万人と同26.7%減りました。派遣元が1年以上雇う見込みのある「常用型」は18.5%減の約96万人でした。
日雇い派遣大手グッドウィル(2008年廃業、現在清算手続中)の元支店長17人
が「名ばかり管理職」として残業代が未払いであったとして、同社に約7千万円の支
払いを求めた訴訟は、5日までに、東京地裁で和解が成立しました。
和解条項は非公開となっていますが、原告側によりますと、同社がほぼ全額を支払
うということで合意したということです。
この17人が加盟する労働組合「首都圏青年ユニオン」によりますと、元支店長らに
は管理職としての権限はない一方、1カ月の残業は100時間超にもかかわらず、管
理職を理由に残業代が支払われなかったとされています。
訴訟で原告側は、「支店長などの肩書があっても出勤や退勤時間の自由はなく、社
員の採用時や部下の時給引き上げ時等に裁量はなかった」と主張しました。労働基準
法上の「管理監督者」に当たるかどうかが争点となっていましたが、グッドウィルが20
09年末に解散したため、和解協議に入っていました。
企業年金連合会(徳永哲男理事長)は30日、転職した会社員らから預かっている企業年金で、60歳以上の受給資格者のうち、本来支払うべき年金が未払いになっている人が2009年度末(2010年3月末)時点で144万人いると厚生労働相に報告しました。
企業年金連合会の年金未払いが初めて判明した2007年3月末時点に比べ20万人増え、未払い累計額は1579億円に達しています。
高齢化で受給資格を得る人が年々増えて、これに伴って未払いの人も増加しているためです。
企業年金連合会は転職で勤務先の企業年金を途中で脱退した人や、倒産で解散した厚生年金基金などの元加入者の年金を管理して支給しています。
今年の3月末時点で年金を受け取る資格がある人は616万人いますが、昨年3月末時点よりも1万人多い144万人が未払いになっています。
このうちの81万人は住所不明で、年金の請求に必要な書類が届いておらず、本人が年金を受給できるのに気づいていない可能性があります。
残りの63万人の住所は判明し、必要な書類も届いているものの、何らかの理由で年金が請求されていません。