社会保障制度改革国民会議は10日、国民健康保険制度の運営主体を市区町村から都道府県に移すことに大筋で一致したそうです。
また、保険料の徴収率を維持するため、市町村の保険料を一律にせず、徴収に努力した市区町村は保険料が安くなる等、意欲を高める仕組みにすべきとの意見が出たとのことです。
安倍首相は、経済の成長戦略に関する6月5日の演説で、先進医療について審査を外部の機関に委ねて速やかに認定を行い、範囲を拡大していく方針を打ち出しました。これと併せて保険外併用療養の範囲も拡大させ、最新の医療技術を一気に普及させるのが狙いとみられます。
日本の公的医療保険制度では、医療保険が適用される診療と適用されない診療を併せて行う混合診療は認められていませんが、厚生労働大臣が個別に安全性や有効性を確認した先進医療については、例外的に保険外併用療養として、保険が適用される診療と組み合わせることが認められています。先進医療は現在、医療機関から申請があった技術を対象に、安全性や有効性などを厚生労働省の「先進医療会議」が審査し、保険診療との併用を認めるかどうかを判断しています。
これに対して安倍首相は、外部の審査機関を活用することで審査を効率化、最新技術をすぐ先進医療に位置づけられるようにし、保険外併用療養の範囲を拡大する考えを示しました。
また、「現在の日本の医療費は40兆円ほど。1パーセントでも健康・予防サービスに振り向けられれば、4000億円もの新たな市場が生まれる」などと述べ、民間企業によるサービスを推進する考えも示したようです。
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)は保険料収入が伸びず、厳しい運営状況でであることから、国の財政支援を向こう2年間継続させることを定めた改正健康保険法が5月24日の参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立しました。
国は2010年度から3年間の期限つきで、国庫補助率を13%から16・4%に引き上げる支援を続けてきましたが、さらにこの支援を2年間続けるとのことです。
また、協会けんぽが拠出している後期高齢者支援金についても、向こう2年間負担を軽くする措置が盛り込まれているほか、シルバー人材センターの会員が、業務中にけがをして、労災保険の対象にならない場合、10月から健康保険を利用できるようになります。
さらに不正請求の疑いがある事業者に対して協会けんぽが立ち入り調査できるようなる案も盛り込まれているようです。
政府の経済財政諮問会議は16日、財政健全化に向けた医療・介護などの社会保障や地方行政の効率化について議論しました。安倍首相は会議の中で、社会保障制度について、「小泉時代の反省をふまえて、国民と思いを共有していきたい」と述べ、社会保障費の削減額ありきではなく、医療のIT化などによる医療費削減の方向性を打ち出しました。会議では、医療や介護関連の情報をデータベース化して活用することや、民間議員からは、自営業者らが加入する国民健康保険の運営を、市町村から都道府県に移管し、広域化を図ることで効率化するべきだとの提案が出され、今後の財政再建に向けて、効率化策ととりまとめを急ぐことで一致しましたが、具体論については先送りとなったようです。
今回の議論は、6月にとりまとめる経済財政運営の基本指針である「骨太の方針」に反映させる方針とのことです。
5月9日、国土交通省は、建設業の社会保険加入状況(2012年10月時点)に関する調査結果を発表しました。3つの社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険)全てに加入している建設業者は87%でしたが、建設労働者で見ると58%にとどまっているということです。
それぞれ、前年に比べて1〜3ポイント上昇していますが、同省では2017年までの社会保険加入率を、建設業者100%、労働者は90%を目標としているようです。