厚生労働省の検討会は19日、労働災害で顔に傷跡が残った場合の障害等級から男女の差をなくし補償額を統一する報告書案をまとめました。今年5月の京都地裁の違憲判決を受けた見直しで、実行には、省令である労災保険法施行規則の改正が必要になります。同省は労働政策審議会での議論を経て、年度内の改正を目指します。
労災保険法施行規則が改正されれば、1947年に制定されてから初めての見直しになります。
労災保険法施行規則は、障害等級を1〜14級に分類していますが、現在の施行規則によると、顔などに重い傷が残った場合、女性は7級、男性は12級になっています。7級は直前3か月の平均賃金の131日分が毎年支払われるのに対し、12級は平均賃金の156日分が一時金として支払われるだけです。軽い傷の場合は、女性が12級、男性が14級となります。
報告書案では、「著しい醜状」が残った場合は男女ともに7級、軽傷の場合はともに12級に統一することにしました。
さらに、切り傷のような細長い傷は、これまで7級でしたが、医学技術の進歩などを考慮し、中間の9級を新たに設置することも決めました。9級では平均賃金391日分の一時金が1度支給されます。
政府税制調査会は2011年度からの創設を目指す「雇用促進税制」について、雇用を増やした企業に対する法人税の税額控除を導入する検討に入ります。成長企業の雇用増加を後押しする狙いです。併せて、雇用を増やしたと偽って減税を受ける不正を防ぐため「雇用保険」制度を活用する方向です。
新制度では一定の基準を上回って働き手を採用した企業に対して、法人税の税額を控除します。具体的な基準や控除額は、法人税率の引き下げ論議や財源の規模を見極めながら決めるとのことです。
尚、どれだけ雇用を増やしたかを確認するやり方として、雇用保険の被保険者数で企業が実際に雇用を増やしたかを確認する手法を用います。
雇用促進税政は「雇用拡大を通じた経済成長」を掲げる菅直人首相が検討を指示し、9月にまとめた経済対策の中でも、2011年度税制改正で「措置を講ずる」と明記していました。
奈良県内の病院の産科医2人が、病院の当直勤務は割増賃金が支払われる「時間外労働」に当たる、として、県に時間外割増賃金などを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は16日、計約1500万円の支払いを命じた一審奈良地裁判決を支持し、「当直は労働時間」と認定。双方の控訴を棄却しました。
判決理由で紙浦裁判長は「入院患者の正常分娩や手術を含む異常分娩への対処など、当直医に要請されるのは通常業務そのもので、労働基準法上の労働時間と言うべきだ。県は当直勤務の時間全部について割増賃金を支払う義務がある」と指摘しました。一方、自宅などで待機する「宅直勤務」については「医師らの自主的な取り組みで業務命令に基づくものとは認められず、労働時間には当たらない」と判断しました。
判決によると、産科医2人は2004〜05年にそれぞれ約210回、夜間や休日の当直勤務をしました。分娩に立ち会うことも多く、異常分娩時の診療行為を含め、睡眠時間を十分取ることが難しい勤務環境でしたが、県は当直1回につき2万円の手当を支給するだけで、時間外労働の割増賃金を支払わなかったということです。
単独では退職金制度を備えることができない中小企業者の相互共済の仕組みによる退職金制度である
「中小企業退職金共済制度」について、厚生労働省はこのほど、「中小企業退職金共済法施行規則」
を改正を発表しました。この改正により、これまで本共済制度に加入できないこととされていた同居の親族のみを雇用する事業にあっても、事業主との間に使用従属関係が認められる同居の親族については、「従業員」として本共済制度に加入できることとされました。
改正規則は、平成23年1月1日の施行です。 詳しい加入手続については、本共済制度を運営する独立行政法人勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部のホームページ上で12月頃発表があるとのことです。
75歳以上を対象にした健康保険制度である後期高齢者医療制度を厚生労働省が2012年度末に廃止する方針について、日本医師会(日医)の中川俊男副会長は11日、記者会見し、「すぐに廃止するのは拙速だ」と批判しました。
また、「不十分な議論で不十分な制度に移行するのは避けた方がいい」と述べ、当面はいまの制度を続けるべきだとの考えを示しました。
日医は同日、2025年以降にすべての健康保険制度を一つにまとめるべきだとする提言書を発表し、その中で4〜5年後をめどに後期高齢者医療制度を自営業者らが加入する国民健康保険などと一緒にするように提案しています。