就業規則の作成・変更
現在、労使間の紛争が年々増加傾向にあります。沖縄県内でも、某王手企業が、残業代の未払い分の支払いを求める従業員から提訴される事案が、最近発生し、地元新聞の1面でも取り上げられました。
こうした事案は、決して他人事ではありません。もし、同じような事態となれば、会社にとっては、多大な損害です。残業代の支払いを求められるのはもちろん、社会的に見ても信用の大幅な低下はまぬがれません。
未然に、労使間の紛争を防止するうえで、大きな役割を果たすのが、就業規則です。
就業規則とは、会社や社員が守るべき規則を定めたもので、国でいうところの、憲法または法律にあたります。
とりわけ、常時10人以上労働者を使用する事業所は、就業規則を作成して、労働基準監督署に届出をする義務があります。この作成・届出の義務に違反すると、30万円以下の罰金に処せられますので、注意が必要です。
就業規則とは・・・
その会社の労働条件の最低基準を定めたものを、就業規則といいます。いいかえれば、労働時間や給料・休憩時間・休暇、果て罰則の条件など、色々な規則が規定されている書類、いわば労働者と会社の間のルールブックともいえます。
労働基準法第93条にも、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効になった部分は、就業規則で定める基準による。」とあるように、従業員を雇い入れる際においても、就業規則の規定が優先されます。まさに就業規則は、「会社の基本的な決まりごと」ともいえます。
就業規則がきちんと定められ、従業員にもじゅうぶん周知されるということは、従業員が安心して働きやすい環境にもつながり、また、最近急増している、労使間のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
就業規則に記載すべき事項
就業規則に記載すべき事項としては、必ず記載しないといけない事項(絶対的必要記載事項)、定めがあれば記載すべき事項(相対的必要記載事項)、それ以外の事項(任意的記載事項)の3つに分類されます。
1.絶対的必要記載事項
- (1)労働時間に関する事項
-
- 始業、終業の時刻
- 休憩時間
- 休日
- 休暇(年次有給休暇、育児休業、生理休業など)
- 交代勤務の場合、その就業転換に関する事項について
- (2)賃金に関する事項
-
- 賃金(臨時の賃金を除く)の決定方法
- 賃金の計算方法、賃金の支払いの方法
- 賃金の締切日と支払いの時期
- 昇給について
- (3)退職に関する事項
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- 退職、解雇および定年の事由とその手続きなど
2.相対的必要記載事項
- (1)退職金に関する事項
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- 退職金が支払われる労働者の範囲
- 退職金の決定方法
- 退職金の計算方法
- 退職金の支払いの方法
- 退職金の支払いの時期
- (2)賞与に関する事項
- (3)労働者の食費、作業用品その他の負担に関する事項
- (4)安全及び衛生に関する事項
- (5)職業訓練に関する事項
- (6)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
- (7)表彰及び制裁の種類と事由に関する事項
- (8)その他、当該事業所の労働者の全てに適用される事項
3.任意的記載事項
1、2以外の事項であって、就業規則の制定趣旨や根本精神など、事業場の労働者のすべてに適用される事項
就業規則の構成
就業規則の主な構成には、総則、人事、服務規律、勤務、給与・退職金、安全・衛生・災害補償、賞罰が挙げられます。
1.総則
- 就業規則を定める目的や、就業規則の適用される範囲を定めます。
- 会社の経営理念を明確にし、就業規則の策定の意義を明らかにします。
2.人事
- 採用、休職、人事異動、退職・解雇等に関して定めます。
- 入社の際に履歴書や身元保証書などを提出させる場合には、その書類名を明記します。
- 試用期間がある場合には、その期間を明記します。
- 突然の退職といった不測の事態に備えるため、退職の意思伝達期限や引継ぎに関する事項も明記します。
3.勤務
- 労働時間、休憩等の記載をします。(労働時間は、8時間以内とします。)
- 休日の規定を入れます。(毎週1回以上または、4週間に4日以上とします。)
- 休日の振替、代休がある場合には、必ず盛り込みます。
- ※休日の振替
- 事前に休日を別の日に割り当てること
- ※代休
- 休日労働をさせた場合に別の労働日を休日とすること
- 時間外労働や休日労働、深夜労働について記載します。
- 早退、欠勤、遅刻等についての取り扱いを明記します。
- 年次有給休暇、生理休暇、産前産後休業、育児介護休業等について規定します。
4.服務規律
- セクシャルハラスメント、パワーハラスメント等の防止規定を入れます。
- 服装・身だしなみ等、従業員に守らせたい事項を明記します。
- 業務内容等に応じて、個人情報保護やパソコン等通信端末の管理に関して記載します
5.給与・退職金
給与や退職金については別規定にすることも可能ですが、記載することも可能です。
- 手当として支給するものは、すべて明記します。
- 時間外賃金等の割増賃金についても明記します。
- 賃金締切日、支払日について、記載します。
- 欠勤、遅刻、早退および私用外出の時間について、賃金控除を行うのであれば、就業規則にその旨を記載する必要があります。
- 退職金については、「懲戒解雇された者については、退職金の全部または一部の支給を行なわないことがある」等の規定がない場合には、懲戒解雇といえども全額退職金を支払う義務が発生するので、要注意です。
- 退職金がある場合、支払日については必ず明記します。(記載しないと、退職日から7日以内に支払う義務が発生します。)
6.安全・衛生・災害補償
- 健康診断の実施や通知等について明記します。
- 残業時間の増加等が見込まれる場合は、面接指導の記載が必要となります。
- ※面接指導
- 残業時間が月に100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる社員に対して、社員からの申し出がある場合には、会社はその従業員に対し医師による面接指導を受けさせなければなりません。
- 過労死や過労自殺といった問題が、クローズアップされ、会社が遺族に訴えられるといったケースも発生していますので、この条項では、法律の規定に特に留意して記載する必要があります。
7.賞罰
- 記載のない懲戒処罰は行なうことができません。懲戒の種類および程度はできるだけ、詳しく記載する必要があります。
- 減給の制裁は、1回の額が平均賃金1日分の半額、総額が1か月の10分の1を超えない範囲でしか行なうことができません。
従業員への就業規則の周知とは・・・
労働基準法106条によると
就業規則は、少なくとも各事業場の見易い場所に掲示するか、あるいは労働者がいつでも見ることができるような場所に備え付けるなどの方法により、労働者に就業規則を周知させる必要があります。
これに違反すると、30万円以下の罰金に処せられます(労働基準法120条2)
しかし、それ以上に、就業規則を従業員に周知させるということは、従業員からすれば、会社像が明らかになり、働きやすさが格段に向上します。自分を会社の一員であると自覚する絶好の機会ともなります。
就業規則を作成するということは、その内容を従業員に知らせることを通じて、会社の姿を知ってもらい、思いきり働ける環境をつくるという作業でもあります。
就業規則の作成(変更)の流れ
沖縄労務管理センターでは、就業規則の作成・変更をおこなっています
基本料金 20万円
にて承っております。
また、簡単な就業規則診断も行っております。
アンケート(MS Word文書)の回答内容をFAXもしくはメールにてお送りいただければ、迅速に診断結果をお知らせいただきます。お気軽にご利用ください。
- お電話でのお問い合わせ(平日9:00から21:00)
- 050-1392-6792
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