従業員が、業務上または通勤途上で負傷したり、あるいは、継続的な業務の遂行が原因で身体や精神の病気になったり、死亡したりした場合、労災に治療費や休業補償などを請求することができます。
また、現実によくあるケースですが、業務上の労災を労働基準監督署に届け出ないことは、「労災隠し」となり、処罰の対象となりますので、特に注意が必要です。
労災が発生したときには、速やかに(休業が4日未満の場合は四半期ごとの翌月末まで)に届け出る必要があり、労災保険の請求手続きも合わせて行うことになります。
さらに、業務上の労災で従業員が負傷し、4日以上休業する場合、4日目以降からしか、労災保険の給付対象になりません。労働基準法によると、業務上の事故による負傷に対し、補償する義務が使用者にはありますので、3日目までの休業分の賃金補償をおこなう必要があることには、重ねて注意を要します。
保険給付の種類 | 支給事由 | |
療養(補償)給付 | 療養の給付 | 業務災害又は通勤災害による傷病について、労災病院又は労災指定医療機関等で療養する場合 |
療養の費用の支給 | 業務災害又は通勤災害による傷病について、労災病院又は労災指定医療機関以外の医療機関等で療養する場合 | |
休業(補償)給付 | 業務災害又は通勤災害による傷病に係る療養のため労働することができず、賃金を受けられない日が4日以上に及ぶ場合 | |
障害(補償)給付 | 障害(補償)年金 | 業務災害又は通勤災害による傷病が治ったときに、障害等級第1級から第7級までに該当する障害が残った場合 |
障害(補償)一時金 | 業務災害又は通勤災害による傷病が治ったときに、障害等級第8級から第14級までに該当する障害が残った場合 | |
遺族(補償)給付 | 遺族(補償)年金 | 業務災害又は通勤災害により死亡した場合(法律上死亡とみなされる場合、死亡と推定される場合を含む。) |
遺族(補償)一時金 |
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葬祭料(葬祭給付) | 業務災害又は通勤災害により死亡した者の葬祭を行う場合 | |
傷病(補償)年金 | 業務災害又は通勤災害による傷病が、1年6ケ月を経過した日、又は同日以後において治っておらず、傷病による障害の程度が傷病等級に該当する場合 | |
介護(補償)給付 | 障害(補償)年金又は傷病(補償)年金の受給者で、介護を要する場合 | |
二次健康診断等給付 |
事業主の行う健康診断等のうち直近のもの(一次健康診断及び特定保健指導の給付一次健康診断)において、次のいずれにも該当する場合
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※「療養(補償)給付」のように、(補償)と付いているのは、業務上の負傷等は、労働基準法によると、使用者に補償する義務が発生するという考え方から来ています。一方、通勤途上の負傷等は、直接使用者には補償義務はないということです。つまり、療養補償給付は業務上の負傷等による給付であり、療養給付は、通勤途上での給付となります。
※労災指定病院等以外で、労災発生時の負傷等で受診する場合、健康保険は使えません。したがって、治療費支払い時に、一時的に全額自己負担する必要があります。事後に、療養の費用を請求することにより、自己負担分が返金されることになります。
休業補償給付支給請求書(様式第8号)又は休業給付支給請求書(様式第16号の6)を所轄の労働基準監督署長に提出します。この場合、休業が長期にわたる場合は、1ヶ月ごとに請求するのが便利です。なお、同一の事由によって、障害厚生年金、障害基礎年金等の支給を受けている場合には、その支給額を証明することができる書類を、請求書に添付します。
また、「賃金を受けなかった日」のうちに業務上の負傷及び疾病による療養のため、所定労働時間の一部について労働した日が含まれる場合は、様式第8号又は様式第16号の6の別紙2を添付します。
※通勤災害により療養給付を受ける方については、初回の休業給付から一部負担金として200円(日雇特例被保険者については100円)が控除されることとなります。
1件当たり3万円にて承っております。