時間外労働(月60時間超)の看護師、推計2万人
日本看護協会の推計によると、病院勤務の看護師のうち、交代制勤務で時間外労働が月60時間を超える看護師が約2万人いることが、24日分かりました。
3交代勤務している看護師では6割弱が、勤務間隔が6時間以下という結果がでています。同協会は「時間外労働が過労死の認定基準に達していなくても、変則勤務は負担が大きく、過労死の恐れがある」と警鐘を鳴らしています。
今回の調査結果は昨年11月から今年1月にかけて同協会会員で病院勤務の看護師1万人に調査票を郵送し、昨年10月の勤務実態を尋ね、3010人(30.1%)から得た回答を集計し、総看護師数に換算し推計したものです。
調査結果によると、時間外労働が「10時間以下」が859人(28.5%)と最も多かったようですが、月60時間を超える看護師は128人(4.3%)。このうち交代制勤務の看護師は74人(2.5%)でした。
この調査においても、看護師不足の要因とも言える過酷な労働環境が表れているようにも思われます。
国民年金納付率 過去最低の見通し
2008年度の国民年金保険料の納付率は62%前後と過去最低だった02年度(62.8%)を下回ったもようです。納付率の低下は3年連続で、政府が目標とする80%との乖離(かいり)が広がっています。
徴収を担当する社会保険庁が年金記録漏れ問題の対応に追われたほか、雇用情勢の悪化も響いているとも考えられます。
国民年金は20歳以上60歳未満の全員が加入し、低所得者ら保険料を猶予・免除された人を除く全員に保険料を納める義務が発生しますが、対象者のうち実際に納めた人の比率を示す納付率は公表済みの昨年4月から12月分までで60.9%どまりとなっています。
週明けに発表する1月分のほか、2―3月分を加えても「過去最低の02年度を下回る」(社保庁幹部)情勢だということです。2月末に発表された財政検証の計算の前提条件となる「納付率80%回復」から、現実は更に遠ざかってしまっているようです。
65歳以上の介護保険料、1.7%上昇
厚生労働省は、4月に改定された65歳以上の介護保険料が、全国平均で月額4160円となったと発表しました。改定前と比較して1.7%上昇し、70円の負担増加となります。保険料が最も高いのは青森県十和田市の月額5770円、最も低いのは、福島県檜枝岐村と岐阜県七宗町の2265円で、自治体間の格差は約2.5倍となっています。
介護サービスの利用者増や、介護報酬の引き上げで給付が増えることによる保険料の上昇を抑制するために、公費が投入されたこともあり、改定前の4090円に比べて1・7%増と伸び率は小幅となりました。また、都道府県別の平均保険料によると、東京都や愛知県、大阪府など大都市圏では保険料の引き下げが目立っています。
介護保険料は3年ごとに見直すことになっているので、新たな保険料は今年度から11年度までの3年間に適用されます。
育児・介護休業法改正案を閣議決定
政府は21日、育児・介護休業法改正案を閣議決定しました。これは、少子化対策の観点から、仕事と子育ての両立支援等を一層進めるため、男女ともに子育て等をしながら働き続けることができる雇用環境を整備することを目的としています。
改正案の主な内容は、次のとおりです。
●育児期間中の短時間勤務制度の導入を義務付ける
●介護のための短期休暇制度の新設する
●生後8週間以内に父親が育休を取得した場合に特例的にその後の再取得を認める
●パパ・ママ育休プラスの創設……父母がともに育児休業を取得する場合、1歳2か月(現行1歳)までの間に、1年間育児休業を取得可能とする
今国会に提出し、来年度中に施行を目指すとのことです。
詳しい情報は、厚生労働省ホームページからご覧ください。
診療報酬明細書のオンライン請求を1年猶予
~ 零細病院に配慮し厚労省
厚生労働省は21日、治療内容や投薬名、診療報酬点数が書かれたレセプト(診療報酬明細書)のオンライン請求で、平成21年度からの実施を義務付けた薬局や医療機関に対し、ネットワーク接続など準備が整っていない場合は、来年3月末まで1年間義務化を猶予し、従来通り紙での請求を認める省令案をまとめました。5月8日に公布されます。
これは、オンライン請求の準備が整わない医療機関や薬局が全国で3000カ所近くに上ったためですが、原則すべての医療機関と薬局を対象とする23年度のオンライン請求完全義務化が、早くもつまずいた格好です。
政府は医療事務効率化のため2011年4月から原則すべての医療機関と薬局にオンライン請求を義務付ける方針で、昨年4月から段階的に実施されています。今年4月からは、レセプト作成用コンピューター導入済みの薬局と病院(ベッド数400床未満)が義務付けられました。しかし、厚労省の調査では、薬局約2,600ヵ所、病院約220カ所で準備ができておらず、このままでは約2,800ヵ所の薬局や医療機関で4月分の診療報酬が支払われないことになっていました。
厚労省は「零細病院が資金繰りに困って廃業する事態も懸念される。今回は緊急措置」として、省令を改正。来年3月末までは従来通り紙での請求を認めることにしました。
以上のような状況を見ていると、政府では、各分野で電子政府化を目指しているものの、現場単位では、その対応に苦慮している現状があることが浮き彫りになっています。