解雇や労働条件などをめぐる労使間のトラブルを解決するため、厚生労働省は弁護士などでつくる委員会があっせん案を示したり、労働局の局長が指導したりする制度を設けています。全国の労働局などに設けられたこの制度の窓口に、2008年度は雇用情勢の悪化を反映してこれまでで最も多い23万件余りの相談が寄せられたことが、厚生労働省のまとめでわかりました。
2008年度は23万6993件の相談が寄せられ、前の年度より3万9000件余り増加、これまでで最も多くなりました。相談の内容としては、「解雇」に関するものが25%で最も多く、次いで「賃金カットなどの労働条件の切り下げ」が13.1%、「職場でのいじめや嫌がらせ」が12%などとなっています。厚生労働省は、「雇用情勢の悪化に伴い、パートや派遣などの非正規労働者を中心に労使間のトラブルが増えています。問題が起きた場合は近くの労働局などに相談してほしい」と話しています。
毎日新聞が全市町村を対象に行った調査で、2008年度の国民健康保険の保険料は、最大3.6倍の地域格差が生じていたことがわかりました。自営業者や農漁業者のほか、年金生活者や失業者の加入が多い国保は「国民皆保険」制度の根幹ですが、国の医療保障政策として公平性に問題があると批判も出ています。また126の市町村(7.0%)が、所得の20%以上の保険料を徴収し、うち2市町では25%を超えていることも判明しました。
同調査は、全1794市区町村(2広域組合を含む)の2007、2008両年度の実態をアンケートなどで調べました。2006年度の厚生労働省の調査では、国保加入の1世帯あたりの平均所得は166万円。同年度までの10年間で約220万円との間を推移していることから、「世帯所得200万円で、40歳代夫婦と未成年の子2人の4人家族。固定資産税額は5万円」というモデルを設定し、年額の保険料算出を求めたものです。なお、このモデルでは計算不能な住民税方式を採用するなどの39市区町は除外しました。
2008年度の最高額は、大阪府寝屋川市の50万4030円で、北海道喜茂別町の50万2500円、福岡県矢部村の49万800円が続いた。最低額は東京都青ケ島村の13万9900円。続いて神奈川県開成町の16万2560円で、20万円未満が9町村ありました。
全国平均額は、2008年度で前年度比4.0%増の32万5165円で、前年度に対し値上げしたのは、801市町村で、値下げは458市町村。値上げ額の最高は、和歌山県湯浅町の19万9120円(74.5%増)で、204市町村が5万円以上を増額していました。
保険料高騰の原因については、被保険者の高齢化と医療高度化による医療費増を挙げる自治体が多く、1990年代以後に増加した失業者や非正規雇用労働者が国保へ移り、運営を困難にしているとの指摘もありました。
国民健康保険の保険料は、自治体によって保険料、保険税と名称が異なり、内容は、医療分▽後期高齢者支援金分▽介護保険分で構成され、3種を合計して算出します。3種とも、(1)所得割り(2)資産割り(3)平等割り(4)均等割りの4種の保険料からなることが多く(4方式)、所得割りと資産割りは、世帯ごとの所得や固定資産税額に一定料率をかけて算出します。平等割りは1世帯ごとに割り当てる一定額、均等割りは一定額に世帯の人数を掛けたもの。これに対し、住民税額を基に算出する方式もあります。また滞納世帯は2008年度に20%を突破したとしています。
換することになりました。現在、75歳以上に限定して医療保険から病院などに特別な診療報酬を支払っていますが、2010年度にも廃止する検討に入りました。 制度が創設されたときの趣旨は、診察回数などに関係なく毎月一定額に抑える仕組みが柱でしたが、この2年間、医療機関の利用が増えなかったことが方針転換の大きな理由となりました。廃止しても患者本人の負担は大きく変わりません。一方で、医療費の抑制策の練り直しが必要になりそうです。 今後、2010年4月の診療報酬改定を念頭に、中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で夏にも廃止に向けた議論に着手されます。 後期高齢者医療制度は、スタート当初から、その混乱ぶりが、テレビなどでもよく取り上げられていました。医療制度は、国民生活の基本的な部分でもありますから、わかりやすい制度になってほしいものだと思います。
広島、山口両労働局が、自動車メーカーのマツダに対し、派遣契約と直接雇用を繰り返して労働者派遣法に定められた3年の制限期間を実質的に超えて派遣労働者を受け入れたとして、3日付でマツダの本社工場(広島市南区など)と防府工場(山口県防府市)、派遣会社に、こうした雇用をしないよう是正指導したことが分かりました。
派遣法は、同一業務で派遣労働者を受け入れられる期間を最長3年間と規定。超えた場合は直接雇用するよう義務付けています。
労働局に申し立てていたのは元派遣労働者5人。厚生労働省の指針では、派遣終了後、新たな派遣を受け入れるまでの期間が3カ月以内の場合は、継続的な派遣とみなされます。両工場では、この3カ月を1日だけ超える期間について、4人を期間工として直接雇用。3カ月が過ぎると再び派遣社員に切り替えて雇い続けていました。残る1人も自分がいた職場で同様の雇用形態があったとして、計5人が、こうした形態は直接雇用義務を逃れる行為にあたるなどと3、4月に申告していました。5人は03〜08年に両工場の同じ職場で最長4年7カ月間働いていました。
労働局は、通算の派遣期間は実質的に3年を超えたと判断し、雇用形態を是正するよう文書で指導しました。一方、直接雇用の指導、勧告は手続き上の不備などの理由で見送ったということです。
マツダのグローバル広報企画部長は「派遣会社に労働者を指名して再派遣をお願いしたわけではなく、法律違反はなかったと理解しているが、指導は真摯(しんし)に受け止める」と話しています。現在は不況の影響で製造現場の派遣労働者の削減が進み、「問題とされた雇用契約はない」とのことです。
日本産業カウンセラー協会のアンケート調査によると、企業で働くカウンセラーの約7割が、職場でメンタル面の不調を訴える人が増加したと考えていることが分かりました。景気悪化の影響で、非正規労働者の一方的な契約解除などが多く、女性が対象となっている事例が6割を占めました。
調査は4月から5月にかけ緊急に実施されたもので、過去1年間に相談を受けたり、見聞きした職場のトラブルについて産業カウンセラーに尋ね、136人が回答しました。
雇用関連では「非正規労働者の一方的な契約解除」「退職勧告・ほのめかし」といった事例を約4割が経験。「自己都合退職の強要」も約28.7%に上りました。
福利厚生関連では、「次は自分が解雇されそうで休みを取りづらい」といった相談など、「休暇が取れない」問題が55.1%に上ったとのことです。
こうした職場環境の悪化を受け、70.6%のカウンセラーが「メンタルヘルス不調者が増加した」と回答。「モチベーションの低下」は66.9%、職場の人間関係や雰囲気の悪化も約半数が指摘しました。