年金を受給していない人のうち、本当は受給資格を得るために必要な25年の加入期間を満たしている人が1割以上いることが1日、社会保険庁の抽出調査でわかりました。このなかには、社保庁のずさんな管理による記録漏れなどにより、本人が気付かないまま無年金になっているケースもあり、こうした人は無年金者のうち推計約3万人いると社保庁はみています。
民主党が実態把握のためのサンプル調査を求めたことを受け、4月1日現在で社保庁に年金記録がある62歳以上のうち、国民年金保険料の納付期間と、免除期間を足しても25年に満たない1628人を抽出調査し、死亡者や住所不明者などを除いた685人から聞き取りしました。
社保庁で把握していなかった記録を統合すると25年を満たす人は、94人(聞き取りした人の14%)で、そのうち62人は受給資格があることを知っていたのに対し、32人(同5%)は知りませんでした。(32人のうち21人は、宙に浮いた年金記録が見つかりました。)
理由について聞くと、「年金が出ないと思い込み、相談を受けなかった」(11人)、「社保事務所などで相談したら受給資格期間を満たさないと言われた」(4人)、「年金制度の知識がなかった」(4人)等
社保庁の記録から無年金とみられる62歳以上は推計73万人。今回の調査結果から、本当は受給資格はあるが、認識していない人を単純推計すると約3万人になります。
社保庁は「無年金者を生じさせないよう申請などの周知を進めたい」としています。
総務省が6月30日に発表した5月の完全失業率(季節調整値)は前月から0.2ポイント上昇して5.2%と、2003年9月以来の高水準になりました。また、厚生労働省が同日発表した有効求人倍率(季節調整値)は0.44倍と前月から0.02ポイント下落し、過去最低を更新しました。
生産に持ち直しの動きがみられる一方で、雇用情勢は依然厳しい状況が続いているといえます。
5月の有効求人(季節調整値)は前月に比べ2.2%減の124万3788人と12か月連続で落ち込み、1999年10月以来の低水準になりました。有効求職者(同)は2.4%増の281万1077人と13か月続けて伸び、過去最多となりました。
新規求人(原数値)は前年同月比34.5%減の44万3386人。産業別にみると製造業が55.9%減となったほか、各分野とも2ケタ台の減少です。都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、最も高いのが香川県の0.71倍、最も低いのが青森県の0.26倍でした。
沖縄県内は、全体の完全失業率が8.6%、男性9・8%、女性7・1%となっています。また、有効求人倍率も、0・27倍と、厳しい結果が出ています。
このように見ると、厳しい現状を突きつけられますが、このような時代だからこそ、今後、国際物流拠点構想などのような大きな雇用を生み出すプロジェクトが期待されるところでもあります。
2008年度にアスベスト(石綿)による肺がんや中皮腫で労災認定を受けた人は3年連続で1000人を超えて1063人にのぼり、前年度を61人上回って、過去2番目に多かったことが厚生労働省の調べで分かりました。
石綿健康被害救済法による申請は前年度の2倍を超え、申請者数は1268人(前年度比141人増)でした。
認定者のうち、肺がんは503人、中皮腫は560人。業種別では建設業が498人で最も多く、製造業464人、運輸業31人が続きました。都道府県別では、東京140人、兵庫114人、大阪92人、神奈川87人の順でした。
厚労省は、労災認定を受けたり、特別遺族給付金の支給対象になったりした人が働いていた事業所名を昨年3回にわたって公表したため、被害を訴える人が増加したとしています。労災の時効(5年)が過ぎ、06年3月に施行された石綿救済法の対象として特別遺族給付金の支給を受けたのは121人でした。
労働保険特別会計の雇用勘定のうち、雇用対策のために使う雇用安定資金の残高が2009年度補正後(予算ベース)で約3200億円と08年度補正後(同)と比べ、3分の1になったことが分かりました。09年度補正予算で雇用調整助成金のために約6000億円を取り崩すのが大きな要因で、雇用情勢は依然厳しく、追加対策が必要になればさらに積立金が減る恐れがあります。
国は失業保険給付に備える積み立てとは別に、雇用対策のために事業主のみから保険料を徴収しており、収入から支出を引いた差額を雇用安定資金として積み立てています。02年度以降、景気拡大や無駄な事業の削減などで雇用安定資金の残高は上昇傾向にあり、07年度末には約1兆円まで積み上がっていました。
民主党は25日、党本部で年金調査会総会を開き、
公的年金を一元化する改革案をまとめました。
収入の15%の保険料を納付し、将来はそれに見合った額を受給する「所得比例年金」と、
消費税を財源に低年金の人でも月額7万円を支給する「最低保障年金」の2本立てを
組み合わせる年金制度改革案を了承しました。衆院選マニフェスト(政権公約)に盛り込みます。
現行制度は廃止しますが、すでに受給している人の受給額には変更はなく、
現役世代の人がすでに納付した保険料は将来の受給額に反映する仕組みとするそうです。
ただ移行期間などの細かな制度設計はこれからで、消費税率を4年間据え置く方針との整合性も問われます。
国民年金は失業者や学生など負担能力の低い層も多く、空洞化が進んでいます。
民主党は一元化で20歳以上のすべての国民が同じ制度に加入することで「同一所得、同一負担の分かりやすい制度」を目指すとしています。
今後、総選挙も近いうちに行われるものと見られますが、年金制度については、国民生活を大きく左右する基本的な制度でもあるので、政党を超えて、幅広い議論が望まれるところではあります。