生涯を通じて負担する税金などに対し、社会保障の受益がどれくらいかを示す「生涯純負担」を内閣府内で試算したところ、生まれたばかり又はこれから生まれる「将来世代」は1億円以上の負担超になりうることがわかりました。財政赤字のツケが集中的にのしかかる前提での試算ですが、世代間の極端な不公平をなくす議論が急務といえそうです。
試算は内閣府経済社会総合研究所の研究員論文として公表されたもので、「世代会計」という手法を使い、世代ごとの負担と受益の関係を算出。「負担」は税金や社会保険料の合計、「受益」は年金や医療、介護、失業給付といった社会保障給付を合計し、差額の純負担額を計算した。今の社会保障制度や財政構造が続くことを前提に、2006年度以降生まれを生まれ年によらず「将来世代」とひとくくりにとらえて、世代間格差を可視化するために数値化されています。
三菱自動車は9日、国内工場の生産が上向き始めたことに対応するため、今秋をめどに取引先の部品メーカーなどから100人程度の人員の応援派遣を受ける方針を明らかにしました。名古屋製作所(愛知県岡崎市)など国内5工場を想定しています。4月から始まったエコカー減税などの効果で、名古屋製作所では減税対象車の小型車「コルト」などの生産が回復し、7月は1日あたり2時間の残業と、月4日間の休日出勤を再開しています。下期も回復が続く場合に備え、応援の形で生産要員を受け入れます。
三菱自は昨年9月の金融危機以降、減産対応を強化し、昨年10月末時点で約3300人いた非正規従業員を今年3月末までにゼロにしました。非正規従業員の採用を再開する計画はまだないとのことですが、もし「中長期的に労働力不足になりそうならば、非正規従業員の雇用も検討する」(三菱自幹部)ということです。
内閣府の外郭団体である経済企画協会は9日、民間エコノミストに経済予測を聞く7月の「ESPフォーキャスト調査」(民間エコノミストによる日本経済予測の集計調査)を発表しました。雇用の悪化が深刻になるとの見方が強まり、完全失業率の予測平均が2010年4〜6月期に5.66%まで上昇し、その後もしばらく5%台半ばで高止まると予測しています。実質国内総生産(GDP)は09年4〜6月期にプラスに転じるとの見方が強いが、企業の採用抑制は続くとの認識が広がっています。
調査は6月25日から7月2日にかけて実施し、金融機関やシンクタンクなどの専門家36人が回答ました。前回調査では失業率のピークは10年4〜6月期の5.48%でしたが、今年5月の失業率が実績で5.2%と急速に悪化したことを受け、予測を厳しい方向に見直すエコノミストが増えました。失業率の予測平均では、11年1〜3月期まで5.5%前後で推移するとの結果になりました。
この予測が外れる結果になることを、今後期待したいものです。
国民年金は、一時的に会社勤めをして厚生年金の被保険者になり、会社を辞めて専業主婦に戻った際に、第3号被保険者の届け出をしないと未加入状態になります。
サラリーマン世帯の専業主婦が一時的に会社勤めをしていた時の年金記録が見つかり、専業主婦に戻った際に手続きをしていなかったとして、過去に受け取った年金の返納を求められるケースについて、民主党の内山晃議員への答弁で、舛添厚生労働大臣は8日、衆院厚生労働委員会で、こうしたケースがどのくらいあるのか、全国の社会保険事務所を通じて調査する方針を明らかにしました。
7日、新日鉄君津製鉄所の57歳の元男性従業員が、アスベスト(石綿)を取り扱う業務に10年以上携わり肺がんを発症したのに労災に基づく休業補償を認めなかったのは不当として、国に処分の取り消しを求め東京地裁に提訴しました。
厚生労働省は2006年から、アスベストによる肺がんについて、10年以上作業に従事し、肺からアスベストとタンパク質が結合した「石綿小体」が見つかれば労災と認める基準を設定しています。
しかし2007年には「石綿小体」の数が少ない場合は厚労省への照会を求める通達を出しており、原告側は認定基準のハードルを事実上高くしたのは許されないとしています。
男性は1972〜96年まで新日鉄君津に勤務。うち11年5か月にわたってアスベストを取り扱う部署で働き、退社後の2003年に肺がんの手術を受けました。この2年後に休業補償給付を木更津労働基準監督署に申請しましたが、2007年に棄却され、今年1月には再審査請求も退けられたということです。