国土交通省所管の社団法人「近畿建設協会」(大阪市中央区)を担当業務の廃止を理由に雇用契約を解除したのは不当として、元契約職員の男性(39)が22日、協会に地位確認などを求める訴えを大阪地裁に起こしました。
訴えによると、男性は平成17年4月、協会の求めに応じて民間会社から出向し国土交通省奈良国道事務所で測量などの請負業務に当たっていました。18年10月、この実態が職業安定法に違反するとして、協会が大阪労働局から是正指導を受けたのを機に、協会の契約職員になりました。
ところが、協会は今年に入って男性の担当業務を廃止するとして、4月末以降の契約更新をしないと通告したといいます。代理人弁護士は「いわゆる偽装請負の解消に協力して職員になったのに、信義に反する不当な整理解雇が行われた」と主張しています。
近畿建設協会は「訴状が届き次第、適切に対応したい」とコメントしています。
厚生労働省は17日、2008年度の「医療費の動向」について、概算の医療費が前年度比1.9%増の34兆1千億円と、過去最高を更新したと発表しました。概算医療費は、保険料と税金で支払われた医療費と患者が窓口で支払った自己負担の総額で、03年度から6年連続増加しています。高齢者が増えたり医療技術が進歩したりしたことが費用を押し上げました。08年がうるう年で1日多かった影響などを調整すると2.2%増。厚労省は、08年度は診療報酬が0・82%引き下げられており、実質的な伸び率は例年並みの3%程度だったとしています。
概算医療費は前年度に比べて6千億円増加。延べ患者数は同1.3%減と減少傾向にあるものの、医療の単価を示す1日あたりの医療費は3.2%増えました。
また、1人あたり平均医療費は26万7000円。70歳未満の会社員などは12万9000円、国民健康保険加入者は23万1000円、70歳以上は75万7000円。08年に始まった後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上では86万3000円でした。
日本労働弁護団は17日、派遣社員から寄せられた労働相談や職場でのトラブルなど71件の事例をまとめた「派遣労働酷書」を発表しました。
不況が深刻化した昨秋以降、解雇や派遣先での嫌がらせ、差別など派遣労働の厳しい状況が浮き彫りになっていることを受け、同弁護団などに寄せられた相談の中から71事例を特徴ごとに「酷書」にまとめました。
71件の中で最も多いのが、「派遣切り」や「雇い止め」といった不安定雇用で37件を占めました。「9年間同じ職場で正社員同様に働いてきたが、雇い止めされた」と急な失職に困惑するケース、実際の仕事は電話対応など一般事務全般なのに派遣法で雇用期間に制限のない「専門業務」と偽り、派遣労働者を違法に長期間雇うケースなどが目立っています。
派遣先の社員からセクハラやパワハラを受けたケースは8件で、このほか、休日がないといった待遇差別などの事例も記載されています。
政府と野党3党が、それぞれ国会に提出した改正労働者派遣法案は廃案となる見通しですが、同弁護団は「派遣社員は弱い立場に立たされているのに、派遣会社、派遣先ともに雇用責任を果たしているとは言えない。このような実態を踏まえ、労働者派遣法の改正論議をしてほしい」と話しています。
酷書は、A5判20ページで、希望者に1冊100円で販売するとのことです。
ついに、今日、衆議院の解散が予定されそうな見通しです。
今国会ではまだ、政府提出法案のうち前国会からの継続案件を含む17本が成立していませんが、参議院で問責決議が可決され、野党が審議拒否に入るため、このまま17法案がすべて廃案になる可能性が強まりました。
主な積み残し法案は、
・北朝鮮に出入りする船舶などへの貨物検査をするための特別措置法案
・内閣人事局を新設する国家公務員制度改革関連法案
・日雇い派遣の原則禁止を盛り込んだ労働者派遣法改正案−−などです。
ただ、政府が今国会に提出した法案の成立数は69本中62本で、成立率は89.9%。衆院解散を控え、野党が修正協議に応じるなど協力姿勢を示したことから、「ねじれ国会」以前の水準(90%台)にほぼ回復しました。
厚生労働省が5年に1度実施している労働組合実態調査によると、組織拡大を重点課題として取り組んでいる労働組合が約3割に達し、1983年の調査開始以来、最多だったことがわかりました。
拡大対象として正社員を重視する労働組合が半数を超えましたが、その一方で、パート労働者の加入を認める割合は約2割にとどまり、依然として正社員を重視する実態が浮き彫りになりました。
今回は2008年6月に、約3900の労働組合を対象に重点課題として組織拡大に取り組んでいるかを尋ねたところ(回答率64.6%)約3割の29.6%が取り組んでいました。
03年の前回調査の24.8%を4.8ポイント上回り、過去最高となりました。