日本の技術を学ぶために来日し、茨城県のめっき加工会社で働いていた中国人技能実習生Sさん(当時31)が昨年6月、急性心不全で亡くなったのは、長時間労働が原因による過労死だとして、Sさんの遺族の代理人が7日、鹿嶋労働基準監督署に労災申請しました。支援する弁護団によると、外国人研修・技能実習生の過労死で労災を申請するのは全国初だということです。
弁護団によると、Sさんは2005年12月に来日。1年目の研修生のときには、残業が制度上禁止されているにもかかわらず月に約100時間の残業をし、技能実習生となった2年目以降は残業時間は月150時間を超え、多い月で180時間に達したといいます。
タイムカードの記録では、連日午前7時半ごろに出勤し、午後9時前後までの勤務。月の休日は2日ほどしかなく、昨年6月の深夜、就寝中に急死しました。持病はなかったとのことで、Sさんは生前、中国の家族に電話で「残業が多くて疲れる」と話していました。
弁護団の指宿昭一弁護士は「研修生・実習生の脳・心臓疾患による死亡の多くは過労死だと思われる。しかし、遺族が海外にいるため相談できず、これまで表面化しなかった。厚生労働省に徹底調査を求めたい」と話しています。国際研修協力機構(JITCO)によると、2008年度に死亡した外国人研修・技能実習生は計34人で、前年度より13人増えて過去最多となっています。死因は脳・心臓疾患が最も多く、16人です。
新潟県燕市の元会社員Aさん=当時(26)=がうつ病になり自殺したのは、上司のパワーハラスメント(パワハラ)が原因として、Aさんの両親が勤務先の会社と元上司らに計約4200万円の損害賠償を求めた訴訟は5日までに、会社側が300万円を支払うことで東京高裁で和解が成立ました。
和解したのは同県三条市のホームセンター運営会社。和解条項は、Aさんへのパワハラや自殺との関係には直接触れず、会社側が「両親の心情を理解する」として和解金を支払うほか、パワハラによる被害の発生防止策の検討を含め、職場環境の改善に努めることを誓約ました。
同社は「和解を機に職場環境のより一層の改善に努める」としています。
8月6日、厚生労働省は第19回社会保障審議会を開きました。
会議ではまず、会長と会長代理の選出が行われ、会長に委員の推薦で貝塚啓明・東大経済学研究科金融教育研究センター長が、会長代理に貝塚会長の指名で大森彌・東大名誉教授が選ばれました。いずれも再任です。
また会議では厚生労働省側が、社会保険庁の廃止に伴い来年1月から発足する日本年金機構の業務運営の在り方について審議するための専門の部会として、「日本年金機構評価部会」(仮称)を設置することを提案し、了承されました。
部会は今年の秋ごろの発足予定で、日本年金機構の業務運営の中期目標などについて順次議論を進めます。
厚生労働省が5日発表した派遣労働者実態調査の結果によると、派遣労働者の37.7%が「賃金に満足していない」と回答しました。「満足している」と答えた27.7%を上回りました。賃金に満足していない理由をみると、同一の業務をする直接雇用の労働者よりも賃金が低いと答えた人が27%で最も多く、次いで、業務量にあった賃金でないとの回答が20.8%でした。
調査は約1万4000人の派遣労働者と約1万6000事業所を対象に2008年10月1日時点の状況を聞いています。派遣元に要望を持つ派遣労働者のうち、賃金制度の改善を求めている派遣労働者は約6割に上っています。今後の働き方について聞いたところ、約4割の人が派遣ではなく正社員として働きたいと答えました。派遣労働者の平均賃金は時給1290円で、派遣労働者を年齢別にみると30〜34歳が21.4%と最も多い結果になっています。
調査時点の業務を男女別に見ると、男性は「物の製造」の42.4%が最も多く、次いで「倉庫・搬送関連」の10.0%。女性は「一般事務」の39.5%、「事務用機器操作」の28.1%の順でした。
厚生労働省は4日、国民年金と厚生年金の2008年度決算(時価ベース)を発表しました。国民年金は1兆1216億円、厚生年金は10兆1795億円の赤字で、いずれも時価ベースの決算データがある2001年度以降で過去最大の赤字となりました。
赤字は国民年金が3年連続。厚生年金が2年連続。一番の要因は積立金運用の不振です。年金積立金管理運用独立行政法人は国内外の株式、債券に分散投資していますが、昨年秋以降の世界的な市場混乱に直撃され損失を被りました。
国民年金は被保険者の減少などによって保険料収入が減ったため、歳入は2.8%減の5兆4144億円。歳出は1.6%減の5兆8344億円となりました。厚生年金は2017年まで保険料率が上がることになっているため、歳入は0.9%増えました。歳出は受給者が増えた影響で2.7%増えたましたが、この収支は3139億円のプラスを維持しています。
年金給付は保険料と国庫負担で多くをまかなっているため、単年度決算の赤字がすぐに給付に影響を及ぼすことはありません。厚生労働省は「昨年末までの株価の状況などを織り込んで長期的な年金財政の見通しを作成しており、将来的にも負担と給付のバランスは保たれる」としています。
ただ、経済の低迷が長期的に続いた場合、将来の給付水準が下がる可能性があります。