厚生労働省が30日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、正社員やパートなどを含む常用雇用者数は44404万1000人となり前年同月比で0.1%減りました。減少は2か月連続です。景気の先行きに対する企業の懸念は強く、雇用を取り巻く環境は依然として厳しいことが分かります。給与総額も減少傾向が続いていますが、減少幅は7月に比べて縮小しました。
正規と非正規を合わせた社員(一般労働者)は3201万1000人と1.2%減少し、6か月連続のマイナスとなりました。一方でパートは1203万人と2.1%増えています。小売りやサービス業を中心に、正社員に比べ賃金水準が低いパートで労働力を補う動きが出ていることが分かります。
基本給に賞与などを合わせた現金給与総額は全産業ベースで1人当たり平均27万3360円。前年同月比3.1%減で、15か月連続のマイナスとなりました。特に残業代など所定外給与(1万6259円)が13.4%減と大きく落ち込んだのが目立ちます。業種別では製造業が5.0%減と最も減少幅が大きく、卸売・小売業の4.5%減がそれに続きました。
厚生労働省は29日、職業訓練中の求職者に生活費を支給する求職者支援法案を来年の通常国会に提出する方向で検討に入りました。同法案は民主党が政権公約に盛り込んでいた雇用対策の一つで、細川厚生労働副大臣は公約通り2011年度にスタートさせる考えを表明しました。
同様の求職者支援は麻生政権の時から3年間の時限措置としてすでに実施されていますが、現在検討中の求職者への生活費支給は、時限措置ではなく、恒久化することなどが目的です。
求職者支援法案は、雇用保険から漏れた人や長い間失業し雇用保険が切れた人らが対象となります。職業訓練を条件に単身者で月額10万円、扶養家族がいる場合は月額12万円を支給するものです。
現在行われている求職者支援については、こちら(厚生労働省HPより:PDF)をご覧下さい。
派遣労働者の労災を厚生労働省に報告した数字が派遣元と派遣先で食い違い、派遣先報告の死傷者数が派遣元より約2割少ないことが同省の集計で26日にわかりました。
厚労省によると、派遣先と派遣元の双方に義務付けられている「労働者死傷病報告」(死亡又は休業4日以上が必要な事故の報告)で、昨年派遣元からの報告数5631人に対し、派遣先からは4574人で1057人少なくなっています。これは労災現場側の企業が提出を怠ったのが主な原因と思われます。
厚労省は、「一概には言えないが、派遣先の責任者が人事評価への影響や違法な働かせ方の発覚を恐れて報告しない可能性の他、労働者自身が仕事がなくなることを心配して派遣先に連絡しないケースもあり得る」と推測しています。
製造業などの工場で派遣労働者の労災事故が急増していますが、軽微な事故は表に出さないなど、企業側の労災隠しが横行しているとの指摘もあります。東京都郊外の自動車工場で派遣として働いていた男性は、業務上のけがを正社員に報告すると、「工場長に言うと、派遣契約の更新はない。自分の不注意としておいた方が長く働ける。」と忠告され、労災の申請はせず、病院にも行かなかったといいます。
派遣先の報告が少ないと、再発防止に向けた労働基準監督署の指導や監督が行き届かない恐れがあり、厚労省では今後監視を強化するとともに、派遣元と派遣先の所在地が離れている等で報告する労基署が異なり、書類を照合して報告の有無を確認する手間が煩雑なこれまでの報告様式を改めるなどの改善策を検討するとしています。
厚生労働省の細川律夫副大臣は25日、都内のハローワーク渋谷を視察後に記者団に対し、鳩山由紀夫首相を本部長とする緊急雇用対策本部を立ち上げる考えを表明しました。失業率が5.7%と過去最悪を記録し、悪化に歯止めのかからない雇用問題に政府全体で取り組む方針です。
対策本部の設置は民主、社民、国民新の連立合意でも確認されており、細川副大臣は「緊急雇用対策本部を立ち上げ、総合的な対策を検討していきたい」と指摘。雇用対策に補正予算で対応する可能性については「(補正を)検討していくことになる」と述べ、財源の必要性を強調しました。
細川副大臣とともに視察に訪れた山井和則・厚生労働政務官は「ハローワークに来れば職業相談だけでなく、住まいや生活保護などの相談にも乗ってもらえる体制が理想だ」と述べ、相談体制を改善していく必要があるとの認識を示しました。
タクシー会社大手の「エムケイ」グループ傘下の「大阪エムケイ」(大阪市)の現・元運転手ら10人が、違法な賃金控除で賃金を不当にカットされた」として未払い賃金など計約9000万円の支払いを求めた訴訟の判決が24日、地裁でありました。
大須賀寛之裁判官は「賃金規定上の根拠がない控除で違法」と認定して、9人に計約5600万円の支払いを命じました。
残る1人については平成15年3月31日以前の支払い分については時効として、当時すでに退社していた請求を棄却しました。
判決によると、10人は2002年10月以降、同社で勤務していましたが、同社が「10分以上の空車は休憩時間」と判断するシステムをとっており、労働時間から差し引いたため、月給が全く支払われなかったり、会社側から費用の支払いを求められたりしました。
大須賀裁判官は「その時間中、乗務員が労働から完全に解放されていたとはいえない」などと述べました。
このほか、時間外・深夜の割り増し手当についても「著しく低額の支払いしかしなかった」とし、付加金の支払いを命じました。
大阪エムケイは「主張が認められなかったのは残念だが、判決は真摯に受け止める。内容を精査して今後の対応を決めたい」としています。