長妻昭厚生労働相は5日、内閣府で菅直人国家戦略担当相と会談し、過去最悪の水準となっている雇用情勢を受け、緊急雇用対策の策定に着手する方針で一致しました。近く菅氏が窓口となり、関係省庁と協議を始めます。
対策は、従業員の休業手当を国が助成する「雇用調整助成金」の支給要件緩和など、短期的なものが中心となる見通しです。財源としては、2009年度補正予算に盛り込まれている「緊急人材育成・就職支援基金」(7000億円)を活用することを検討しています。
さらに、政府は緊急対策に続き、長期的な雇用対策の策定にも取り組みたい考えで、人手不足となっている介護分野での雇用促進策などが検討される見込みです。
長妻氏は会談後、記者団に「介護はこれまでコストととらえていたが、むしろ投資。雇用も作れる」と語り、介護など社会保障分野を柱にした雇用拡大策を打ち出す意向を表明。平野博文官房長官も同日午前の会見で、緊急雇用対策本部を政府が設置することについて「今後の進展によっては当然考えなければならない」と述べ、前向きに検討する考えを示しました。
個人的な意見ですが、もっと起業に関する助成金の規制を緩和していただけないものかと感じています。
とりわけ、起業によって、新たな雇用が生み出される側面が現実としてあるわけですから、現行のように規制だらけの助成金制度は、もっと使いやすいものになることが求められているように考えられます。
契約の打ち切りなどによって去年10月以降に仕事を失った非正規雇用の労働者は、全国で23万8000人余りに上ることが、厚生労働省の調査でわかりました。
厚生労働省は、景気の悪化に伴う人員削減の計画を把握するため全国の企業を対象に任意の聞き取り調査を行っていますが、それによると、2008年10月から2009年12月末までに契約を打ち切られて解雇されたり期間満了で仕事を失ったりする非正規雇用の労働者(予定含む)は、9月18日の時点で23万8752人となり、前の月よりも6304人増えました。
内訳は、派遣労働者が14万1619人、期間従業員が5万4421人で、請負労働者が1万8875人となっています。 都道府県別では、愛知が4万117人と最も多く、次いで長野が1万450人、静岡が9666人、東京が9468人、三重が8812人などとなっています。
また、仕事を失った非正規雇用の労働者で調査が可能だった11万515人のうち、再就職できたのは全体の43.4%の4万7949人にとどまっています。
一方、正社員で2008年10月から2009年12月末までに仕事を失う人は、一度に100人以上仕事を失うケースをまとめただけでも全国で4万7676人に上り、先月よりも4310人増えるなど依然として厳しい状況が続いています。
詳細は厚生労働省HPにてご確認下さい。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/10/h1001-1.html
こうした現状を受け、長妻厚生労働相は2日午前、雇用保険の適用を受けない非正規労働者などを対象に、3年の臨時措置として職業訓練期間中の生活を支援する制度を恒久化させる考えを示しました。
この制度は自公政権による2009年度補正予算に盛り込まれ、事業費7000億円が基金として「中央職業能力開発協会」に交付されています。
鳩山政権は、基金の削減対象の一つにあげていますが、長妻厚労相は制度設計をやり直し、来年度の当初予算で財源措置を目指すものとみられます。
保険診療と保険外診療(自由診療)を併用する「混合診療」を受けると、本来は健康保険が適用される診療も含めて治療費全額が自己負担となる制度の是非が争われた訴訟の控訴審で、東京高裁は先月29日、「運用は妥当」と判断しました。その上で、原告に保険給付を受ける権利を認めた1審判決を取り消し、請求を棄却する逆転敗訴を言い渡しました。 控訴審では、84年の健康保険法改正で混合診療を一部認める例外規定が盛り込まれたことを巡る法解釈が最大の争点でした。判決は「認められたもの以外の混合診療は禁止されていると解釈すべきだ」と指摘し、国の運用を妥当と認めました。原告側は「患者が希望する治療を選択する権利を奪い、憲法が保障する生存権などを侵害している」とも主張していましたが、「医療の安全性確保などから、合理性を欠くとは言えない」と退けました。 訴訟は健康保険法に明文上の禁止規定がない混合診療について、国が法解釈で原則禁止にできるかが争点となっていました。原告側は上告する方針です。
有期契約で働く労働者のうち3割が、同じ職場の正社員と同様の仕事を任されていることが30日、厚生労働省の調査で分かりました。このうち4割は基本給が正社員の8割未満で、低賃金で正社員並みに働く有期労働が広がっている実態が浮き彫りになりました。
調査は7月に1万社余りの企業を対象に実施、6231社から回答を得ました。有期労働はパートや派遣、契約社員などに分類されますが、名称別では働き方の実態がつかめないため、正社員より軽い仕事の「軽易型」や、正社員と同様の仕事をする「同様職務型」など、働き方を調べました。
その結果、有期労働者の54.4%が「軽易職務型」で、28.3%が「同様職務型」でした。同様職務型で働く人のうち39.4%は、基本給が正社員の8割未満で、8割〜10割未満の28.9%も含めると、約7割が正社員よりも賃金が低く抑えられていました。
企業が同様職務型の有期労働者を活用する理由は、「業務量の中長期的な変動に対応」や「人件費を低く抑える」「高齢者の活用」が目立ち、厚労省は「正社員の代替が進んでいる可能性がある」とみています。
一方、有期契約で働く5千人を対象にした調査では、同様職務型で働く人の50.0%が世帯主で、40.7%は年収200万円以下でした。
また、有期雇用で働く理由(複数回答)は「正社員の仕事がない」(38・7%)がトップ。解雇、雇い止めも50・2%が体験し、このうち41・4%が「トラブルになった」と答えています
社会保険庁職員による厚生年金記録の改ざんを巡り、社会保険庁は1日、弁護士ら有識者による12人に委嘱した「年金記録問題拡大作業委員会」(委員長=磯村元史・函館大客員教授)が9月初めにに舛添要一厚生労働相(当時)に提出しながら非公表となっていた文書を公表しました。
文書は「『年金記録の遡及(そきゅう)訂正』に関する作業についてのまとめ」との表題で、標準報酬月額などをさかのぼって低くした改ざんの背景を分析しています。
文書では、一部委員が改ざんの疑いが強い記録の持ち主から名前の出た職員やOB19人をヒアリングした結果、新たに社会保険庁の職員と元職員の2人が、自らの関与を認めたことが明らかになっています。
関与を認めたのは、厚木社会保険事務所(神奈川県)の課長だった現職職員と、広島西社会保険事務所(広島県)の課長だった職員OBです。
事業主に対して虚偽の届け出を出すよう示唆したり、誘導したりした。社会保険事務所長など上司の対応に関し、2人とも「知っていても知らぬふりをしていたと思う」と証言しています。
厚生年金記録の改ざんは、零細企業の保険料負担を軽くして滞納額を減らし、社会保険事務所の徴収成績を高く見せかけるために、月収の記録を引き下げるなどの手口で行われます。
文書は厚労省と社保庁の歴代幹部に対し改ざん問題の責任についての見解を提出するよう求めており、公表を指示した長妻昭厚労相はこの日の閣議後記者会見では「今後、議論していきたい」として、提言に沿った対応を検討する考えを示しました。