宅配便最大手のヤマトホールディングスは、パート社員を今後3年間で最大3万5000人増員します。増員するパート社員は荷物の配達などを担当するとのことです。その反面、ドライバーなどで多くを占める正社員は定年退職など自然減で年1000人強減らす考えです。この雇用調整で、売上高の半分強を占める総人件費を抑制します。
宅配便市場は景気悪化の影響で単価下落が進んでいます。非正規社員の雇用不安が議論されているなかで、同社はパートの積極活用で総人件費を抑えながら全体としては従業員数を増やし、収益を確保する考えです。
同社の「宅急便」を手掛けるデリバリー事業の従業員数は約14万人で、パートと正社員がほぼ半々を占めています。これまで配達業務は正社員が中心でした。一方パート社員は荷物の積み込みや仕分けが主な業務でした。今回のパート社員の増員で配達にも本格的に業務を広げる予定とのことです。
今回の増員で、従業員数に占めるパートの比率は6割前後に達する見通しです。
政府税制調査会は、来年度からの支給が検討されている子ども手当の代わりに、扶養家族のいる人を対象に税負担を軽減している一般の扶養控除を原則として廃止する方針を固めました。
政府税制調査会は、来年度から子ども手当の支給が検討されていることから、政策の趣旨が重なるとして所得税と住民税の一般扶養控除を廃止するかどうか話し合いを続け、16歳未満が対象になっている控除は、手当と重複するとして廃止する方針を固めました。また、23歳から69歳までの成人した家族を扶養している人を対象にした控除も廃止する方針ですが、この場合は、子ども手当は支給されず増税になるため、扶養家族が障害や病気で働けないなど考慮すべき事情があるケースでは今の控除を適用するか新たな控除を作って負担が増えないようにする検討を進めています。
一方、学費の負担などを考慮して16歳から22歳までの扶養家族がいる人に、より多くの控除を認めている「特定扶養控除」は、来年度から高校授業料の実質無償化の実施が検討されていることを踏まえ、縮小すべきだという意見もありましたが、民主党は選挙前にまとめた政策集で「特定扶養控除は維持する」としていたことから縮小に反対意見が強まり、今のまま維持することになりました。
月160時間を超える残業をしていた神奈川県在住の元コンビニエンスストアのアルバイト男性(42)が、過重労働が原因で統合失調症を発症したとして労働災害が認定されたことが分かりました。長時間・過重労働などを原因とする過労死、過労自殺の労災認定は、増加傾向にありますが、アルバイトなど非正規雇用労働者の過労労災認定は珍しく、長時間労働が正社員だけではなく、非正規まで広がっていることを浮き彫りにしました。
男性や労災申請を支援した神奈川労災職業病センターによると、男性は神奈川県内のコンビニエンスストアで1998年からアルバイトしていましたが、次第に労働時間が長くなり、もうろうとして働いているところを家族が見つけ、2007年11月に仕事を辞めさせました。 申告を受けた労基署は、2005年の3月や10月などに月間160時間を超える残業をしている事実をレシートの記録などから確認、「恒常的な長時間労働があり、精神的負荷が強くかかった」ことを原因に統合失調症を発症したとして今年の9月に業務上の災害と認定しました。
認定では、男性は2005年12月以前に発症したとされ、発症から2年近く症状を抱えたまま働いていたことになります。 男性の労働時間を記録したメモによると、この間、月に350〜529時間働いており、ほとんど、店に寝泊まりして働く状態で、賃金は30万円の固定給与だったといいます。
長時間・過重労働を巡る労災に関しては、うつ病など精神障害の労災で、2008年度は927件(うち自殺148件)の申請のうち、30〜39歳が303件、20〜29歳が224件と20〜39歳で5割を超えています。2008年度は労災認定件数が過去最多でした。
当コンビニエンスストア広報部は「労災の認定を受けたことは承知しているが、詳しい内容は把握しておらずコメントできない」と話しています。
厚生労働省は3日、中小企業のサラリーマンら約3500万人が加入する「全国健康保険協会管掌健康保険」(協会けんぽ)の財政悪化を受け、大手企業の健康保険組合と公務員などの共済組合が拠出している後期高齢者医療制度への支援金を来年度から引き上げる方向で調整に入りました。協会けんぽへの支援は、総額で約2500億円の新たな財政対策を実施する方針です。
ただ、協会けんぽへの国庫補助を健保組合などが肩代わりする形になるうえ、大手企業のサラリーマンの保険料アップにつながります。全国で約1500ある組合健保には協会けんぽと同じように赤字に苦しむところが多いため、日本経団連や健保組合の反発は必至。厚労省は年末の政府予算案の編成までに決着させたい考えですが、調整は難航しそうです。
後期医療の給付費の約4割は現役世代が負担しており、健保組合、協会けんぽのほか、国民健康保険や共済組合が支援金を出しています。支援金の額は加入者数に応じて決まり、健保組合(約3千万人)は年間1兆3千億円、協会けんぽ(約3500万人)は1兆5千億円。
しかし、健保組合のほうが財政力が比較的豊かであることから、厚労省は「支援金」の算定方法を変更して行う方針。来年の通常国会に関連法改正案を提出する考えです。
厚生労働省が30日に発表した10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、労働者の平均賃金を示す現金給与総額は26万8036円と前年同月比1.7%減で、17か月連続で減少しました。減少率は昨年11月以来となる1けた台に縮小しました。企業活動が持ち直しつつあることを映しています。
産業別では、長引く景気低迷を反映し、製造業が同3.3%減の29万6098円、金融・保険業が同2.9%減の36万5712円などとなっています。
なお、基本給などの所定内給与は1・0%減の24万6049円。残業代などの所定外給与は9・7%減の1万7290円でした。
所定外労働時間は9・6時間となり、前年同月比で11・2%減少。景気動向の目安となる製造業の所定外労働時間は、20・8%減の12・2時間でした。
調査は全国の従業員5人以上の事業所約3万3000か所を対象に実施しました。