知的障害の程度を過小評価され、障害基礎年金の支給を認められなかったとして、滋賀県の知的障害者6人が国を相手に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が19日、大津地裁でありました。石原裁判長は、基準の不備は認めなかったものの、6人全員の障害について「年金受給の程度に達していた」と判断し、不支給処分を取り消しました。障害者の年金認定をめぐる処分取り消しは異例です。
訴えていたのは、滋賀県内の25〜29歳の男女6人で、いずれも軽度の知的障害があります。周りの指示などがなければ服を着替えることができない人もいるということです。
判決によると、6人は2003〜05年度、障害基礎年金の支給を請求しましたが、同県の草津社会保険事務所(現在:草津年金事務所)は、障害基礎年金2級に該当しないとして、不支給処分を決定しました。しかし、原告6人のうち5人が2006年から2008年度に再請求すると、一転して支給が認められたということです。
原告側は、「国民年金法施行令の等級表は、知的障害や精神障害について身体障害の程度と比較して判断するように定めており抽象的」「等級表を補足する厚生労働省の実務用の認定基準内容も具体的でなく、認定者の主観で結論が左右される余地がある」などと問題を訴えていました。
判決では、基準の不備は認められませんでしたが、不支給処分は取り消されました。
昨年10月、三重県四日市市の東名阪道で警備員が居眠り運転の大型トラックにはねられ死亡した事故で、トラックの男性運転手(38)=自動車運転過失致死罪で禁固3年、執行猶予4年の判決確定=が、国の基準より1カ月間で160時間も長く拘束されるなど過酷な条件下で働いていたことがわかりました。
近畿運輸局は近く、雇い主の運送会社「ロジネクス」(兵庫県小野市)を監査し、営業停止処分を検討します。また三重県警高速隊は、22日、同社と同社小野支店の支店長、運行責任者の2人を運転手に過労運転を続けさせたとして道交法違反(過労運転容認)容疑で書類送検します。
厚生労働省が定める運送業者の労働基準は、休憩や仮眠も含む拘束時間は月320時間以内に限られますが、この運転手は事故前の1カ月間は480時間も拘束されていました。
1日の上限も16時間以内ですが、事故を起こすまでの2日半、車内での計6時間半の仮眠を除き、ひたすら運転と積み荷作業を続けていたということです。
運転手は昨年10月19日未明、兵庫県の会社を出発。大阪市や栃木、埼玉、茨城の各県を回って兵庫に戻り、再び東京へ向かう途中の21日午後7時40分ごろ、四日市市で事故を起こしました。県警の調べに「運行日程が厳しく、眠ってしまった」と供述しています。
長野県松本市の自動車販売会社に勤める同市在住の男性(46)が、「不当な懲戒処分と配置転換などで、うつ病に追い込まれた」として松本労働基準監督署に労働災害を申請し、認定されていたことが分かりました。
労災申請を支援したNPO法人「ユニオンサポートセンター」(同市)によりますと、男性は2006年4月、事務上のミスで顧客とトラブルになり、減給6カ月の懲戒処分を受けたといい、男性は「不当に重い見せしめ的な懲戒処分だった」と主張、「処分後、突然経験したことのない部署に転勤させられ、辞めるよう仕向けられた」といいます。
男性はその後、うつ病と診断され、会社を休職し昨年4月に労災を申請しました。
職権を背景とした嫌がらせであるパワーハラスメント(パワハラ)によるうつ病は立証が難しいため、裁判になるのが一般的ではありますが、今回のような労基署の認定は珍しいといいます。
厚生労働省は、昨年4月、心の病の労災認定基準を見直し、強いストレスを受ける要因としてパワハラを新たに盛り込んでいます。
厚生労働省は18日、2010年度から実施する中学卒業までの子どもに支給する子ども手当(1人当たり月1万3千円)の支給時期などの制度の内容を明らかにしました。
1回目の支給は、中学生以下の子ども1人に対し6月に4、5月分の計2万6000円を一括で支給することとなります。
支給は現行の児童手当と同じ6、10、2月の年3回とし、2回目の支給となる10月は6〜9月分の、来年2月は10〜1月分の各計5万2000円となります。
児童手当制度に新制度を上乗せする形式をとるため、小学生までが対象の児童手当を現在受給している家庭は申請不要ですが、新たに受給対象となる子どもや中学生がいる場合は申請が必要です。
新たに受給対象となる家庭は今年9月末までに市町村に届け出れば、4月分から支給を受けることが出来るなど、猶予期間も設けています。
日本マクドナルドの元男性社員が勤務中に急性心機能不全で死亡したのは超過勤務が原因であり、労働基準監督署の遺族補償給付不支給処分は不当であるとして、元社員の遺族が処分を取り消すよう国に求めた訴訟で、東京地裁は18日、過労死と認め不支給処分を取り消しました。
判決は「同社の業務形態は深夜勤務を含む不規則なもので、職場はサービス残業が常態化していた」と指摘し、元社員の病気を発症する前の6か月間で、自宅でのパソコン作業も含め時間外労働が月平均80時間を超えており、疾病は業務と相当因果関係があると認めました。