全国健康保険協会は27日、中小企業の従業員らが加入する協会けんぽ(旧政府管掌健康保険、約3500万人)の10年度の都道府県別の保険料率(労使折半)を決定しました。
都道府県毎に料率は異なりますが、景気悪化による賃金の低下に伴い、保険料収入が大幅に落ち込んだことが影響して、年収に占める全国平均の保険料率は現在の8・2%から9・34%へと大幅に上昇しています。
最高は北海道(9・42%)、最低は長野県(9・26%)で09年度と同じですが、両者の格差は0・11ポイントから0・16ポイントに広がっています。
北海道の次に保険料が高いのは、佐賀県(9・41%)、福岡、香川県(9・40%)の順となっています。
協会けんぽの財政悪化を受け、政府は国庫補助率を13%から16・4%に引き上げます。大企業の健保組合などからの支援も見込み、本来9・9%まで引き上げる必要があった保険料率を9・34%に抑えましたが、それでも1・14ポイント増と過去最大の引き上げ幅となりました。
厚生労働省の認可を受けて、4月分(5月末納付期限分)から新保険料が適用の見込みであるようです。
沖縄の場合は、現行の8.20%から9.33%と改定されるようです。この経済情勢の中、厚生年金保険料(平成29年まで毎年9月引き上げ)や健康保険料が引き上げられるというのは、企業負担も増えるとともに、生活者にとっても痛いことであります。
厚生労働省は25日、昨年4月の介護報酬改定(3%アップ)が介護従事者の処遇改善に与えた影響の調査結果(速報)を公表しました。パート職員らを含む09年9月の平均給与(一時金の1カ月分などを含む)は23万1366円で、08年同期の22万2308円と比べ9058円増加で職種を介護職に限ると8919円増えました。同省は「改定の影響があった」とみていますが、定期昇給する人の昇給分も含まれているといいます。
09年10月1日時点で全国7141施設を対象に調査し、5034施設の回答を集計。08年9月、09年9月ともに在職した人が対象で時給制や日給制のパート職も含まれます。
職種別で最も増えたのは生活相談員・支援相談員の1万2291円増で、最少は作業療法士らの8102円増。施設の種別では、特別養護老人ホームが1万2052円増で最多で、最少はパートが多い訪問介護事業所の5868円増でした。
前政権は人手不足が強い介護従事者の処遇改善を狙い、09年4月に介護報酬を増額改定。当初は「増額分がすべて処遇改善に回れば給与は2万円アップする」と説明していまいたが、実際には赤字の解消など事業者の経営改善に回った分も多いとみられ、処遇改善は半額以下にとどまった格好です。
またこの調査結果に対して「零細事業所では、こんな増額はあり得ない。回答した施設の規模が偏っていないのか疑問だ。」という声もでています。
年金記録の持ち主が分からない「宙に浮いた年金」について、旧社会保険庁が全職員とOB計1万7649人を対象に昨年末実施した調査で複数の元幹部が07年の問題発覚前から問題の存在を認識していたことが分かりました。
調査は長妻昭厚労相の指示で、昨年12月に旧社保庁職員や元職員ら1万6612人(94・1%)が回答し、厚生労働省や同省の「年金記録回復委員会」が解析中で、25日の同委員会で、旧社保庁設立以来の部長以上の大半にあたる47人の回答が個人名を伏せて公開されました。
その中には「(在職時に)基礎年金番号が同一人に二つ以上付番されたケースが相当数あり、名寄せに数年要すると説明を聞いた。その後記録問題が明らかになった」「被保険者が最終的に受給(手続き)時に対応できると思っていた」などの回答がありました。
このほか、厚生年金記録の中に「実在しない事業所」や脱税目的などのための「幽霊加入者」や加入者がゼロの事業所の存在を指摘する回答もあり、虚偽の記録による「でっちあげの年金」につながる恐れもあり、さらに整理分析を進める方向です。
鳩山由紀夫首相は22日の衆院予算委員会で、現行25年の公的年金の受給資格期間について「期間短縮も重要な発想だ。25年は長すぎるので検討したい」と述べ、期間短縮に前向きな考えを示しました。無年金・低年金者対策などのため、保険料を支払う期間の短縮に前向きな考えを示したものです。
厚生労働省は現在、無年金者となる可能性のある人は118万人程度と推計しています。長妻昭厚労相は同日の記者会見で、受給資格期間短縮について「25年ルールは(制度の)根幹にかかわることなので、新しい年金制度改革の中で見直しに取り組んでいく」と強調しました。
民主党がマニフェストで示した年金制度改革案は、税方式の「最低保障年金」と、納めた保険料に応じて支給される「所得比例年金」を組み合わせたもの。最低保障年金は誰でも月7万円を受給できるとしていました。
総務省は22日、雇用保険料で運用される雇用安定事業と能力開発事業についてムダがあるとして、厚生労働省に運営を改善するよう勧告しました。08年度に実施した102事業(当初予算額1371億円)のうち過半数の58事業(同937億円)で不適切な内容や手続きが確認されたとして、改善を求めました。中でも、働く女性をサポートする施設「女性と仕事の未来館」(東京都港区)は事業費よりも人件費などが過大で、廃止も含めて検討するよう求めています。
調査は08年12月から今年1月、厚労省や公共職業安定所などを対象に実施。勧告によると、希望しない労働者に常用雇用を勧める事業や、学生の就職支援で類似事業を複数手がけていたり、奨励金申請の際に必要のない資料を提出させているケースを確認。外国人の求職者向けパンフレットでは外国語の表記がなく、日本語で作ったりするケースもあったといいます。
「未来館」については財団法人「女性労働協会」に運営を委託していますが、08年度の運営費3億2333万円のうち事業費は9451万円と全体の3割以下。残りの7割は人件費や管理費に使われていました。