厚生労働省が2日、国民健康保険の2008年度財政状況速報を公表しました。それによりますと、全国平均の保険料収納率は2007年度を2.14ポイント下回る88.35%で、国民皆保険制度が始まった1961年以来、初めて90%を割り込んだということです。収納率は徴収すべき保険料に占める実際の収納額の割合で、下落は4年ぶりです。
2008年度には後期高齢者医療制度が導入されたため、75歳以上の高齢者が市町村の国保から同制度に移行しました。収納率低下は、納付意識の高い高齢層が減少したことと、景気の悪化が原因とみられます。
ただ、2008年度の国保財政収支は、市町村が一般会計から繰り入れている額を除いた実質収支で2384億円の赤字ですが、赤字幅は、高齢者医療への拠出金が減少したことなどで、前年度よりも1236億円縮小しました。
保険料を滞納している世帯は2009年6月時点で全世帯の20.8%と、前年度に続き2割を超えました。
厚生労働省は29日、2010年度の公的年金支給額を、09年度と同額に据え置くと発表しました。据え置きは4年連続となります。給付額は国民年金が、1人月額6万6,008円(年額79万2,100円:40年間保険料を納め続けた場合)。
厚生年金は、夫が標準的な給与で妻が専業主婦のモデル世帯で月23万2,592円。
年金額は原則として、物価と賃金の変動により改定されます。しかし過去に、物価が下がっても給付額が据え置かれた経緯があり、09年度まで3年間かけてその分が相殺され、物価は上昇しましたが給付額は上がりませんでした。
10年度については、指標となる09年の物価(生鮮食品含む)が前年比1.4%マイナスとなり、本来ならば連動して給付額が下がるはずですが、05年の物価水準を下回らなければ現状を維持するという関連法の規定に基づき、据え置きとしました。
厚生労働省は29日、09年10月末現在の外国人労働者の雇用状況を公表しました。労働者数は56万2818人(前年比15・7%増)でした。事業所の規模別でみると、約4割が従業員50人未満の事業所で働いており、半数以上が従業員100人未満の中小企業で働いていました。また、約3割が派遣労働者として働いていました。
この調査は、07年に施行された雇用対策法で事業主に外国人労働者の氏名や在留資格などをハローワークに届け出なければならないことから、届け出を基に雇用状況をまとめられたものです。
国籍別では、最多の中国が44・3%(24万9325人)で、ブラジル18・5%(10万4323人)、フィリピン8・7%(4万8859人)などが続きます。在留資格では、日系人や国際結婚など身分に基づく在留資格が45%で最多でした。
産業別では最も多いのが製造業で38・9%を占め、建設設計やデザイン、ビルメンテナンスなどサービス業(除く飲食サービス業)が13・2%でした。
都道府県別では、東京都の13万8907人が最も多く、愛知県の6万7728人、静岡県の3万4618人と続きました。
くも膜下出血で死亡した男性タクシー運転手(当時56歳)の遺族が、死亡したのは、会社が高血圧と知りながら男性に過重勤務を強いたのが原因として、勤務先のタクシー会社に慰謝料など約7900万円の求めに対し、福岡高裁は、損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、約3600万円の支払いを命じた判決(08年10月)を変更し、同社に約2700万円の支払いを命じました。
裁判長は1審同様、業務と死亡の因果関係を認め、会社側に安全配慮義務違反があったと判断したうえで、1審の認定額を減らした理由を「過重勤務に至った原因は、より多く収入を得たいという意思が大きく働いていたことは否めない」などと指摘しました。
判決によると、男性は倒れるまで約半年間の時間外労働は1カ月平均80時間を超えていました。
中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)は27日に開いた総会で、症状が軽いのに救急外来を受診する患者から特別料金を徴収する新制度について、4月からの導入を見送ることを決めました。
厚生労働省は救急病院に勤める医師の負担を軽減するために導入したい意向でしたが、中医協で「軽症か重症か患者には分からない」などと反対意見が出たためです。
厚労省は「指にトゲが刺さった」などの理由で気軽に救急病院で受診する「コンビニ受診」が広がり、勤務医の負担が重くなっているとの判断により、中医協に虫刺されなどの軽症患者が全国221カ所にある救命救急センターの救急外来を訪れた場合に、保険診療の自己負担分とは別に特別料金を徴収できるようにする案を提案しました。
しかし、中医協では「逆にお金を払えば(軽症でも)救命救急センターに行っていいことになりかねない」との慎重論が出て、委員の間で意見がまとまりませんでした。
厚労省は今後、患者への注意喚起や広報活動で対応するとしています。