会社更生手続き中の日本航空の大西賢社長は17日の記者会見で、2月18日に厚生労働省に申請した企業年金の改定について「きょう午前に認可を受けた」と明らかにしました。退職者(OB)で平均3割、現役社員で同5割減らします。7月に裁判所に提出する更生計画案が認可を受けることが前提条になります。
また、2011年4月入社の新卒採用について「おそらくない」と述べ、98年以来、13年ぶりに新卒採用を見送る考えを示しまいた。10年4月入社については、内定者142人を予定通り採用するとしています。
グループ全体で2700人を目標に今月から募集を始めた特別早期退職は、今後の路線削減の規模に応じて対象者数を拡大する可能性を示唆しました。
経営再建への取り組みについては「人件費や調達費の見直しを進めており、昇給を行わないこと、給与、賞与の削減などに加え、乗務保障手当を50時間までにする検討にも着手した」と説明し「日本航空インターナショナルで180億円、グループ全体で300億円のコスト削減効果を見込む」といいます。
就職が決まらないまま今春卒業する学生、生徒向けに用意した無料職業訓練等の
支援策について、学校やハローワークを通じて周知徹底することを、政府の緊急雇用
対策本部の新卒者支援チームが12日に開いた会合で確認しました。
無料の職業訓練は6カ月程度となっており、専門学校などで社会人の心構えや基礎
知識・技術を学ぶこととなります。
世帯年収が低い場合は、期間中に月10万円の生活費を受給することもでき、1カ月の
体験雇用では、1人当たり8万円の奨励金を国が雇用主に支給、期間後の正規雇用
につながるように促します。
派遣先の上司からセクハラを受けて精神疾患になったとして労災を申請、棄却された
北海道内の女性が、棄却処分の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、東
京地裁で開かれました。
原告側によると、セクハラをめぐる労災の不支給処分取り消しを求める訴訟は珍しいと
されており、記者会見した女性は「代わりはいくらでもいると言われ、追い詰められた。
心身だけでなく働く環境も害された」と訴えています。
訴状などによると、女性は派遣先の上司から繰り返しセクハラを受け、精神的に不安
定となり、誘いを拒否すると、嫌がらせを受けるなどしたため退職、通院のため再就職
ができず、2007年に労災を申請したものの不認定となりました。
女性が北海道労働局へ不服を申し立て、セクハラ行為は認定されましたが棄却、労
働保険審査会に再審査を請求しました。
厚労省の精神疾患に関する労災認定基準で、心理的負荷の強度が最も高い「3」へと
修正されましたが、「発病前に相談窓口へ訴えていない」などとして棄却されています。
厚労省は05年「心理的負荷が極度の場合、その事実自体を評価する」と、職場のセク
ハラが原因で精神疾患になった場合も労災対象となると全国に通知しています。
妊婦がまとまった出産費用を用意しなくても出産できる「出産育児一時金」の医療機関への直接支払制度について、厚生労働省は12日、4月の完全実施を見送ると発表しました。一部の医療機関に今月末まで認めていた猶予期間を1年延長します。
この制度は、これまで妊婦らの請求に基づいて出産後に支払われる一時金(原則42万円)を、医療保険から医療機関に直接支払うもので、妊婦が資金を用意しなくても出産できるようになる計画でした。
しかし、医療保険から一時金が医療機関に払い込まれるまで1〜2カ月程度かかるため、「資金繰りに支障がでる」との声が強まり完全実施を延期しました。
NECの部長だった男性(当時52歳)がうつ病を発症して00年に自殺したのは過重労働が原因として、妻(54)が、労災と認めず遺族補償年金を不支給とした三田労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は11日、労災と認め「自殺は過労によるうつ病が原因」として処分を取り消しました。
青野洋士裁判長は判決理由で、元部長は自殺までの約8カ月間、ほぼ月に100時間以上残業していたと指摘。さらに、「達成困難なノルマ、中心的な役割の部下の異動などで強い心理的負荷があった」とし、うつ病の発症や自殺が、業務によるものと認めました。
判決によると、 旧防衛庁調達実施本部の背任事件(98年)の影響で99年3月期、約2200億円の赤字を計上したNECは当時、収益の見込めない部署を整理する方針でした。この部長のソフトウエア開発を担当する部署は検討対象とされていました。そのころ、長時間労働が続いて00年1月ごろにうつ病を発症、同2月に「万策尽きました。会社へ 責任をとります」と書き残して自宅近くのビルから飛び降り自殺しました。妻は労災遺族補償年金を請求しましたが、03年に退けられていました。
妻の代理人は「上場企業の部長という裁量性の高い地位の労働者について、恒常的な長時間労働の心理的負荷を正面から認めた判決で意義深い」としています。
三田労働基準監督署は「判決内容を検討し、関係機関とも協議した上で今後の対応を判断したい」とコメントしています。