渋谷労働基準監督署(東京・渋谷)を視察した長妻昭厚生労働相は、視察後記者団に
対して「全国的にうつ病患者が増加している。健康診断の時に(症状を)チェックできない
かどうか、法改正が必要であれば検討したい」と指摘しました。
また、それに伴い、早ければ来年度にも労働安全衛生法の改正を目指す考えを示しました。
従業員がうつ病であるかどうかの検診について、現行の労働安全衛生法は事業主に
義務付けておらず、厚労相は「本人はうつ病とは気づきにくい。(体制を整えれば)自殺
対策にもつながる」と強調しました。
厚労省によりますと、うつ病を含む気分障害の患者は、現在国内に100万人以上いる
とみられています。
心臓に機能障がいを持つ愛知県豊橋市の小池勝則さん(当時37歳)が死亡したのは、勤務先の家電量販店の過重労働が原因だとして、妻友子さん(40)が労災認定を求めた訴訟の控訴審判決が16日、名古屋高裁でありました。高田健一裁判長は身体障がい者の労災認定について「障がい者であることを前提に仕事をしていた場合、本人の状況が判断基準となるべきだ」と述べ、訴えを棄却した1審・名古屋地裁判決を取り消し、労災を認める判決を言い渡しました。
遺族側代理人の水野幹男弁護士は「平均的な労働者を基準に労働が過重だったかどうかを判断するのが一般的で、障がいや身体能力を考慮して労災との因果関係を認めた判決は初めてではないか」と話しています。
1審判決は、厚生労働省が通知している「心疾患のリスクが増えるとされる時間外労働や休日労働の基準は月45時間」だとして、小池さんが月33時間の時間外労働をしていたことについて「心停止を発症させる原因になり得るほど過重だったとはいえない」と認定しました。これに対し、高裁判決は、身体障害者雇用促進法などで障がい者の職務が過重とならない配慮が求められていることを示したうえで「業務による負荷が過重かどうかの判断は小池さん本人を基準にするべきだ」と指摘。
小池さんの業務を過重労働だったとして死亡との因果関係を認めました。
判決によると、心臓に障がいを持つ小池さんは97年に身体障害者手帳(3級)の交付を受けました。00年11月に家電量販店に身体障害者枠で採用、店内での販売業務をしていましたが、同12月、不整脈で死亡しました。死亡直前の約10日間は残業が1時間半から2時間半に達していました。友子さんは01年11月に労災認定申請をしましたが、豊橋労働基準監督署は不支給としていました。
豊橋労基署は「判決内容を検討し、労働局とも協議して対応を決めたい」とコメントしました。
厚生労働省は14日、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度を廃止し、65歳以上は原則、市町村が運営する国民健康保険(国保)に加入する新制度を導入した場合をめぐり、3通りの試算を公表しました。いずれも公費(税)負担は年9000億円減る一方で、国保は最大で年9000億円の負担増となります。
新制度は、原則として65歳以上は国保に加入する案が有力ですが、サラリーマンら被用者保険に加入している本人と扶養家族の扱いは固まっていないため、高齢者医療制度改革会議に試算を提示しました。
公費負担を後期高齢者医療制度と同様、「75歳以上の医療給付費の5割」とした場合、65歳以上の全員が国保に加入するケースでは国保は9000億円の負担増になります。大企業の従業員らが加入する健康保険組合も1000億円負担が増しますが、中小企業の従業員らを対象の協会けんぽは2000億円の負担減となりました。
65歳以上のサラリーマンと妻ら被扶養者は、国保に移らず被用者保険に加入を続ける場合は、国保の負担増は6000億円で、協会けんぽも3000億円負担が増えました。妻ら被扶養者だけが国保に移るケースでは、国保の負担増は8000億円でした。
いずれのケースも公費負担は9000億円減ることから、厚労省は「負担の増減はかなり平準化できる」としています。
厚労省は5月に一般国民8000人を対象に意識調査を実施し、今夏に中間まとめをし、来年通常国会の法案提出を目指しています。
日本経団連が14日発表した新卒採用のアンケート調査によりますと、来年度の新卒採用を予定する企業のうち、今年度より人数を「減らす」としたのは22.6%で、「増やす」の18.5%を上回りました。「変わらない」も41.1%あり、厳しい採用環境が続くことが浮き彫りになったかたちです。
会員企業1283社のうち425社から回答を得ました。「来春の新卒採用の予定がある」と答えた企業は87.5%で、前年度の回答に比べ1.1ポイント増えました。今年3月の新卒者を実際に採用した企業は全体の91.1%で、1997年度の調査開始以来、初めて2年続けて減りました。採用した企業のうち、人数を減らしたとの回答は68.7%にのぼりました。
調査は経団連の会員企業約1300社を対象に実施し、425社が回答しました。
JR福知山線脱線事故で、脱線した電車の運転士(23)の遺族が、大阪市の天満労働基準監督署に労災を申請したことが分かりました。遺族が申請したのは今年3月上旬で、遺族給付の支給を求めているということです。申請の5年期限の失効寸前での申請です。
労働基準監督署の審査において、職場環境や安全対策に重大な過失が認められれば、JR西日本に、給付額の30%を徴収するペナルティーが課せられます。運転士への懲罰的な日勤教育や、事故現場のカーブに自動列車停止装置を設置しなかったことなどについて、労基署がどう判断するか注目されます。
運転士をめぐっては、運転中に駅の停車位置を誤るオーバーランをしたため、車掌の無線報告に聞き入り、ブレーキ操作が遅れて事故を起こしたとして、兵庫県警が2008年9月、業務上過失致死傷容疑で書類送検していますが、神戸地検は2009年7月、死亡により不起訴としました。