労災で顔や首に大やけどをした京都府の男性が、女性よりも障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に反するとして、国の補償給付処分取り消しを求めた訴訟の判決で、京都地方裁判所労災は、5月27日「不合理な差別的取り扱いで、違憲」と判断し処分を取り消した件について。
厚生労働省は、6月10日、国としては、控訴を行わないことを発表しました。そのなかで、違憲とされた障害等級表については、本判決の趣旨を踏まえ、見直すこと。併せて、今後、本年度内の同表の見直しを目指し、具体的な内容を検討することとしています。
(参考)外ぼうの醜状障害に関する等級設定について
障害の程度
ほとんど顔面全域にわたる瘢痕で人に嫌悪の感をいだかせる程度のもの
男7級
女7級
外ぼうに著しい醜状を残すもの
男12級
女7級
外ぼうに醜状を残すもの
男14級
女12級
リクルートの研究機関・ワークス研究所(東京・千代田)の調査によると、2009年度の正社員の中途採用実績は前年度比49.9%減となり、金融危機による景気後退の影響で、サラリーマンの転職が難しくなっている状況が明らかになりました。今年に入ってから有効求人数が回復するなど企業の採用意欲は強まっていますが、パートなど短期の求人が先行し、正社員の中途採用は依然として狭き門となっているようです。
今回の調査は2994社を対象に集計。09年度の中途採用実績は1社当たり平均7.39人で、08年度の14.74人から半減ました。08年度は15.6%減でした。
中途採用の減少率は、厚生労働省の雇用動向調査で判明している1974年の第1次オイルショック(18.9%減)や、86年の円高不況(10.1%減)を大きく上回り、比較可能な70年代以降で過去最大となっています。
10年度の中途採用計画を聞いたところ、予定があるのは全体の34.2%と3社に1社にとどまっています。昨年調査より3.9ポイント減っており、「予定がない」は47.4%と昨年並みでした。
中途採用抑制は「新卒を優先した結果」(同研究所)との見方もあります
厚生労働省は7日、国の事業に無駄がないか有識者が公開で議論し検証する
「行政事業レビュー」を開きました。その中で、育児休業の取得促進等4つの助成
金事業を審査し、すべて「廃止」と判定しました。
育休制度の利用を促す「育児休業取得促進等助成金」は「利用している企業が
少なく、効果がはっきりしない」、残業時間の短縮を支援する「労働時間等設定
改善援助事業」は「ニーズが低く、効果もわかりにくい」といった理由で「直ちに
廃止」となりました。
他には、職業訓練などの経費助成する「雇用開発支援事業費等補助金」・中小
企業の人材確保のための採用活動や人材育成等の経費の一部を助成する「キ
ャリア形成促進助成金」は、一定期間経過後に廃止との結論がでています。
マツダ労働組合(約2万人)は5日、期間従業員を7月から組合員として受け入れる方針を明らかにしました。
マツダの期間従業員は4月末時点で約260人。正社員との待遇格差を緩和し、同じ職場の従業員が一体感を持てるようにするといいます。
マツダの非正規従業員は、これまで派遣社員が中心でしたが、雇用形態を巡り広島労働局などから是正指導を受け、2009年7月に会社提案で派遣社員から期間従業員への転換を進めた経緯があります。
自動車大手の労組では、トヨタ自動車労働組合に続き2例目の取り組みです。7月5日の臨時大会で正式決定します。対象は6か月間の初回の契約期間終了後、期間従業員が対象で希望者を順次組合に受け入れるとのことです。
企業が経営環境の悪化を理由に一方的に内々定を取り消したのは違法として、元学生の男女2人が不動産会社(福岡市)に慰謝料など計495万円を求めた訴訟の判決が2日、福岡地裁でありました。岩木宰(おさむ)裁判長は「内々定取り消しは原告の期待を裏切り違法。原告に誠実に対応したとは言い難い」として同社に計195万円の支払いを命じました。原告側の弁護士によると、内々定の取り消しに慰謝料支払いを命じた判決は全国初とのことです。
判決によると、2人は2008年5〜7月、それぞれ同社の適性検査や面接などを経て内々定を得て、会社側に要求された入社承諾書を提出しました。2人は就職活動を終了させましたが、正式な内定通知を受け取る予定だった10月1日の2日前「サブプライムローン問題や原油などの暴騰の複合的要因による経営環境の悪化」を理由とする内々定取り消しの書面が届いたとのことです。
岩木裁判長は判決理由で、内々定を「正式内定までの間、企業が大学卒業予定者を囲い込み、他企業への就職を防ごうとする活動」と規定。正式内定とは異なり、内々定で労働契約は成立しないとし、また一方で「内々定を得た学生が採用に期待するのは当然」と述べ、「同社にリーマン・ショックなどが経営に直接影響するとの認識があったかは疑わしく、学生への現実的な影響も十分考慮していない」と断じました。
原告の男女はこの問題を巡り09年1〜4月、労働審判を福岡地裁に申し立てました。同社側に2人への「解決金」として、計175万円を支払うことを命じましたが、会社側は異議を申し立て、訴訟になっていました。