東京地裁において、2日、添乗員派遣会社(大阪市)の女性添乗員が、あらかじめ決めた労働時間を働いたことにする「みなし労働時間制」の適用は不当などと訴えて、残業代など約45万円の支払いを求めた訴訟の判決がありました。田中一隆裁判官はみなし労働制の適用を認め、会社側に約24万円の支払いを命じました。
田中裁判官は、以下の点から「労働時間算定は難しいためにみなし労働時間制が適用できる」との会社側主張を認める判断を示しました。
・単独で添乗業務を行い、立ち回り先に到着した際も連絡をしていない
・出社せずにツアーに出発し、帰社せず帰宅していた
そのうえで「添乗の労働時間は1日11時間とみなされるため、所定労働時間8時間を超えた3時間は時間外労働にあたる」と述べています。判決によると、女性は、約1週間の海外ツアーに2度(07年12月と08年1月)添乗し、日当は1万6000円でした。
同社を巡っては、今年5月、東京地裁の別の裁判官がみなし労働制の適用を「認めない」という判決を言い渡しています。
厚生労働省が30日発表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たり平均の所定外給与(残業代など)は、全産業ベースで前年同月比10.3%増の1万7575円でした。増加は5カ月連続で、生産活動の回復を背景に、残業時間を示す所定外労働時間が9.6時間と10.4%増えたことが影響しました。
現金給与総額は0.2%減の26万7721円と3カ月ぶりに減りました。賞与など特別に支払われた給与が6054円と23.6%減ったためで、基本給を示す所定内給与も0.1%減の24万4092円と22カ月連続の減少となり賃金が本格回復するにはまだ時間がかかりそうです。
総実労働時間は1.3%増の139.6時間と5カ月連続で増加。特に製造業の所定外労働時間は12.9時間と46.7%のプラスで6カ月連続で前年水準を上回りました。
旧社会保険庁の後継組織・日本年金機構の各年金事務所が民営化後の業務の改善例を発表し合う「サービスコンテスト」が26日、東京都杉並区の機構本部で開かれました。全国312の年金事務所のサービス改善の取り組みから好事例を拾い上げ、他の事務所に広げる狙いです。
社保庁時代には、年金などに関するずさんな業務や不親切な窓口対応が批判されていましたが、今回、新組織での取り組みを全国312事務所から募集し、58事務所が応募しました。この日は評価の高かった10事務所の所長らが実例を発表。1位には、熊本県天草市の本渡(ほんど)年金事務所の取り組みが選ばれました。
しかし、候補事例の説明では「空いた相談ブースに来所者を誘導する」「長時間待たせた来所者に『お待たせして申し訳ありません』と言う」などの取り組みが「改善事例」として報告され、厚労相ら審査員からは「当たり前だ」「これが厳選された好事例なら、他の事務所はどうなっているのか」など厳しい指摘が出ました。
審査員として出席した厚労相は「民間企業ではあたりまえのことができていなかったということを反省し、一つ一つサービスを改善していきたい」と話してたようです。
厚生労働省は23日、2013年度に導入する新しい高齢者医療制度について、65歳以上を原則として市町村の運営する国民健康保険(国保)に加入させた上で、都道府県単位で財政運営する案を高齢者医療制度改革会議に示しました。医療費のかさむ高齢者が国保に集中すれば財政を圧迫するため、65歳以上は別勘定にして都道府県単位で運営し保険財政の安定をめざします。
財政運営の責任は都道府県庁と、市町村で構成する広域連合の2通りがありますが、どちらが負うかは今後の検討課題としています。また厚労省が示した案によると、高齢者の医療費に見合う標準保険料率を都道府県単位で設定し、そのうえで各市町村に納付すべき保険料額を割り当てるべきだとしています。
市町村は標準保険料率をもとに、保険料の納付率などを反映した独自の保険料率を設定できるようにし、住民に身近な窓口として保険証の発行や健康診断などの保健事業、保険料の徴収業務なども担うようにします。
厚労省は年末に最終案をまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出し、12年度末で現行の後期高齢者医療制度を廃止、13年度から新制度に移行する方針を示しています。
厚生労働省は22日、2008年度の介護保険の実施状況をまとめました。給付費(利用者負担を除いた額)は、前年度比4.2%増の6兆4185億円で、制度が始まった2000年度の3兆2427億円からほぼ倍増しました。
要介護認定を受けた人は前年度比3.2%増の467万人で、65歳以上に占める要介護認定者の割合は前年度とほぼ同じ16・0%でした。
実際にサービスを利用した人は前年度比3・9%増の377万人で、65歳以上の1人あたりの給付費(予防給付費含む)は同1・2%増の22万7000円でした。