阪神大震災後の復興事業などを担当し、2002年にうつ病から自殺した兵庫県芦屋市の男性職員=当時(41)=について、業務上の負担が大きかったためとして、地方公務員災害補償基金兵庫県支部が、民間企業の労災に相当する公務災害と認定していたことが26日、分かりました。同基金などによると、精神疾患の公務災害が認められる例は珍しいといいます。
芦屋市によると、1999年4月から総務部企画課(当時)に勤務。震災復興事業や財政計画策定などに従事。00年は震災による財政難と行財政改革が重なった時期で、1カ月の超過勤務が100時間を超えたことが何度もありました。特に、同年7月31日〜9月8日の40日間は休みがなかったといいます。01年3月にはうつ病と診断され、同年4月に別の部署に移ったものの、男性は02年5月に自殺しました。
遺族は同年9月に同支部に公務災害認定を申請しましたが、因果関係はないとして退けられました。不服申し立てを受け、同支部審査会が業務は質的、量的にも過重で、うつ病は公務に起因すると判断を覆したため、同支部は昨年12月に公務災害と認定しました。
芦屋市は「不幸な結果を招いたケースで、特殊な勤務状況だったことが理解されて良かった」と話しています。
また、職員の妻は「夫はただ仕事を一生懸命にやっただけ。これを機に、公務災害がきちんと認定される社会になってほしい」と話しました。
仙台市内のバス会社に勤務していた男性会社員(当時52歳)が自殺した原因は、
長時間労働によるうつ病と、上司によるパワーハラスメントであるとして、23日、この
男性の妻が労災不支給処分の取り消しを国に求め、仙台地裁に訴えを起こしました。
訴えによりますと、この男性は入社以来28年間運転手として勤務整備管理者と
して勤務していたが、2006年7月以降は、整備管理者に配置換えとなり自殺する
前の1カ月の残業時間は約180時間にも及んでいたといいます。
また、不慣れなパソコンで資料を作成するよう命じられたり、仕事でミスをすると上
司に大声で毎日のように怒鳴られていたとのことです。
仙台労働基準監督署は2008年7月に、「自殺は労災には当たらない」として遺族
年金の不支給を決定しました。
男性会社員の妻は、労働者災害補償保険審査官に審査請求しましたが棄却、
「労基署は残業の実態調査やパワハラの有無も調査していない。精神障害を発
症させるほど心理的負荷が大きかったのは明らか」と主張しています。
厚生労働省は22日、全国の同省職員から2011年度の新規政策を募る「政策コンテスト」を実施しました。最優秀政策には、雇用保険の受給手続きのためにハローワークに来た高齢離職者が年金相談も受けられるようにする改善策を選び、長妻昭厚労相は「早速、予算措置を検討して実現したい」と述べました。応募総数は81件となりました。
また、長妻昭厚生労働相は8月にも、厚労省の制度や事業が目的通りに機能しているか調査・分析し、改善に結びつけるための専門部署、民間から室長を受け入れ、厚労省の職員と合わせて10人程度で構成する「アフターサービス室」を設置し国民の声を厚労行政に反映させ、制度や事業の見直しを進めるようにします。
アフターサービス室は3〜4カ月に1度、調査・分析結果をリポートにまとめ、厚労省のホームページなどで公表する考えです。
国民健康保険(国保)の1人当たり医療費が、大企業の健康保険組合(健保)に比べて高いことが厚生労働省の実態調査で明らかになりました。
とくに40〜44歳では、国保加入者の1人当たり医療費は健保の約1.7倍となっています。
健康保険組合の連合体である健康保険組合連合会によれば、「健康診断が影響している」とのことです。
40歳から74歳を対象に生活習慣病の予防を目指す特定健康診査(メタボ健診)の受診率は、健保が約60%であるのに対して、国保は約28%にとどまっている点があげられます。
年代別にみると、40歳から44歳の国保加入者の医療費は年間で16万6286円となっており、健保の医療費の10万125円を大きく上回っています。
45歳から49歳でも国保は20万2942円であり、健保の約1.6倍となっています。
20歳未満の年齢では、国保と健保の加入者の医療費には大きな差はなく、30代から60代までの年齢層で医療費が高くなる傾向があります。
国保の加入者は無職者が5割超を占めており、平均年収は健保の加入者を大幅に下回り、体調が悪くても通院を控えたりして結果的に医療費が膨らんでいる可能性があります。
また、中高年の会社員が病気にかかって退職し、国保に移るケースもあります。
国保の財政は2008年度時点で2384億円の実質赤字となっており、高齢化が進むと医療費の支出が膨らみ、財政はさらに厳しくなる見通しです。
企業向けに支給する雇用調整助成金のうち、「教育訓練加算額」を年内中に引き下げ
る方針を厚生労働省が出しました。
現在は大企業で1日4000円(教育訓練の対象者1人当たり)、中小企業では6000円が
支給されていますが、どちらも1200円に減額され、金融危機により悪化した雇用情勢が
上昇傾向にあると判断しての見直しとなります。
なお、同助成金は2009年度には6537億円(近年ピークの1994年の約10倍)となり、
支給総額のうち教育訓練費は1467億円、支給対象者は19万5000人となっています。