神戸港でアスベスト(石綿)を扱う荷物検査作業をし、9年前に肺がんで死亡した男性(当時54)の妻が28日、遺族年金の支給を認めなかった国の処分取り消しを求める訴訟を神戸地裁に起こしました。
訴状によると、男性は1965年から34年間、神戸港で石綿の数量を確認する仕事をし、2001年7月に肺がんで亡くなりました。妻から特別遺族給付金の請求を受けた神戸東労働基準監督署は今年1月、「石綿暴露の指標となる肺内の石綿小体が1グラムあたり2552本しかなく、労災認定の基準に達しない」として不支給処分を決定していました。遺族は「石綿小体の数だけではなく、労働状況を総合的に判断して認定すべき」と主張し、代理人弁護士は、労災認定の基準の見直しを求めるということです。
厚生労働省は、現在の後期高齢者医療制度に代わる新制度として、都道府県
単位で財政運営する国民健康保険の対象年齢を75歳以上とする方針を決め、
「高齢者医療制度改革会議」に提示しました。
同会議が先月まとめた中間報告において、対象年齢については「75歳以上」
と「65歳以上」の両論併記としてしましたが、厚労省は「65歳以上」とした場合、
65〜74歳の保険料が変動し、公費負担が増えることなどを考慮したとされて
います。
2013年度に施行される新制度では、75歳以上の8割が国民健康保険に加
入、残り2割の現役会社員らにおいては、企業の健康保険組合などの被用者
保険に加入することとなります。
また、新制度施行に伴い、現役世代について市町村、高齢者は都道府県単位
と別会計で運営することが決まっています。
縫製加工業「ケイエッチ」(本社・東京都渋谷区)が鶴岡市内の2工場の全従業員計240人に対し解雇予告手当を支払わずに解雇した問題で、元従業員約90人が、ケイエッチの名前では取引先の信頼が得られないなどとして新会社「クレインヒル」を設立し操業開始に向け準備していることが分かりました。
ケイエッチ側が取引先からの信頼回復が困難などとして、9月末を予定していた工場再開を断念したことを受けたもので、新会社の代表となる元山形工場長は「再建に向け頑張りたいという元従業員の声が集まり、雇用を維持していくことが重要だと考えた」と説明。
同市の土地と建物などを借り受け、10月上旬からの稼働を目指すといいます。
未払いとなっている解雇予告手当などについてケイエッチ側から元工場長に「解雇予告手当は年内に、退職金は来年から支払う」と連絡があったといいます。
国民健康保険について、高所得者層の負担上限を引き上げて、中所得者層の保険料
負担を軽減する方針を厚生労働省が固めました。2011年度から年間の負担上限額(介
護保険料を含む)を2万〜4万円引き上げ最大77万円として、その分を中所得層の保険
料引き下げの原資にしたいとしています。
中小企業の会社員の負担上限は108万円となっており、医療保険制度の間で異なる
負担格差を是正する狙いもあるとみられています。
中小企業の会社員とその家族らが加入する協会けんぽ(約3500万人が加入)15日、2011年度の保険料率が現行の標準報酬月額の9.34%(全国平均)から9.57%に上がると試算しました。
これによると、年収380万円の会社員の場合、保険料負担は年間で約4300円増える計算になります。
保険料は労使折半のため、事業主の負担も同額膨らむことになります。
加入者の賃金は減少傾向にあり、また高齢化の影響で医療費の支出も増える見通しです。
このため、協会けんぽは保険料率を引き上げて保険料収入を確保する必要があると判断しています。
来年1月に開く運営委員会において、引き上げを正式に決める見通しで、来年4月から保険料率が上がることになりそうです。
保険料率は加入者の医療費などに応じて都道府県ごとに異なり、現在は9.26〜9.42%となっていますが、来年度は9.46〜9.67%程度に上昇し、地域差が広がる可能性があります。
厚生労働省は70〜74歳の患者の病院での窓口負担を原則1割に特例で引き下げており、また出産育児一時金を38万円から42万円に増やしました。
今年度いっぱいでこれらの措置をとりやめた場合、協会けんぽの財政負担は軽くなり、来年度の平均保険料率は9.53%にとどまるとみています。
現行の保険料率については、こちら(協会けんぽHP)をご覧下さい。