セクシュアル・ハラスメントを受け精神疾患を発症したのに、労働基準監督署が業務上の病気と認めず労災認定しなかったとして、北海道の元派遣社員の女性が、国の労災保険不支給処分の取り消しを求め提訴した初の「セクハラ労災訴訟」で10日、国側が一転、業務による病気であることを認めました。
原告側の弁護士によると、労災保険不支給を不服として提訴した訴訟で、国が労災を認めるのは極めて異例だということです。国は女性の就労状況などを調べ、支給額を決める方針で、休業補償などが認められれば、原告側は訴えの取り下げも検討します。
東京地裁に提出した準備書面によると、函館労基署は業務による発症とは認められないと決定しましたが、原告側が裁判に提出した資料や、提訴後に国が収集した記録により、国はこれまでの主張を改めたということです。
原告側によると、元派遣社員の女性は2001年に派遣された北海道内の大手企業で、上司から携帯メールや言葉で何度も誘われ、断ると中傷や無視にあって体調が悪化、2006年、退職に追い込まれました。しかし、2007年に労災申請したが認められず、労働保険審査会への再審査請求も2009年、却下されています。
愛知県警は7日、「中小企業緊急雇用安定助成金制度」を悪用し約200万円をだまし
取ったとして、詐欺容疑で運送会社の社長を逮捕しました。
逮捕容疑については、今年の5月から7月の期間、実際には勤務していた従業員に対し、一時
休業をさせ手当を支払ったように装って、愛知労働局に助成金の支給を申請、3回にわ
たり計約200万円をだまし取った疑いがかかっています。
県警によりますと、この社長は、「会社の運転資金が欲しかった」と供述しており、同様
の手口で計約1600万円をだまし取ったとみて調べています。
厚生労働省は11月2日、内閣府に対して「出先機関改革の再検討の指針」を踏まえ、特区方式による国と自治体(都道府県・市町村)の一体運営方式のハローワークの創設 (自治体によるハローワークへの指示を初めて可能にしたもの)を提案しました。
目的は、地域の実情に即した自治体の意向を踏まえた職業紹介サービスの提供と、ハローワークを核として他のサービスを含めた、雇用・生活サービスのワンストップ化を実現するものとのこと。
概要は、特区において、職業紹介、福祉相談、住宅相談、職業訓練などを総合的に提供する国と自治体の一体運営施設を創設。また、一体運営施設においては、都道府県に加え、市町村も参加し、自治体がハローワーク(国)に指示できる制度を創設するものとのこと。
一体的運営施設を支える法的枠組みは法定事項であり、以下の内容が提案されています。
○「雇用対策協定」の締結
自治体から国に対する要請権と国の誠実応諾義務
○「運営協議会」の設置
自治体、国、地域の労使等が参加し、運営
○自治体の指示権の創設
自治体から一体運営施設の職業相談・職業紹介業務に対する指示を可能
○一体運営施設
職業紹介、福祉相談、住宅相談、職業訓練などを総合的に提供
静岡県立こども病院(静岡市葵区)が医師に対し、上限を超える時間外労働
をさせた上、残業代を支払っていなかったとして、労働基準法に基づく是正勧
告を静岡労働基準監督署から受けていたことが1日、分かりました。
医師らは病院を管轄する県立病院機構に対し未払いの残業代を払うよう静岡
簡易裁判所に申し立てを行い、医師15人に残業代総額約1630万円(2007年
10月〜2008年7月分)を支払うことで機構と調停が成立しました。
1人最大で約300万円の支払いでした。
機構によりますと、病院は以前、常勤医師には残業代の一部のみ支払い、非
常勤医師には週35時間分の正規の賃金しか支払っておらず、残業代はありま
せんでしたが、労基署の調査で発覚し、2008年5月に是正勧告を受けました。
その後、病院側は残業代を支払う仕組みに変更し、昨年4月には医師の時間
外労働の上限を、年間450時間から750時間に引き上げることで労働組合と合
意しています。
協定を超える時間外労働については当病院だけでなく、県立総合病院とがんセン
ターも2007年の勧告で指摘されていますが、背景に慢性的な医師不足の実態
があるといわれています。
厚生労働省は28日に、厚労相の諮問機関である「社会保障審議会介護保険部会」に対して、2012年度の介護保険制度改革に向け、介護サービスを利用した時の自己負担割合(現行1割)の引き上げなどによる負担増により財源を確保することを提示しました。
これに対して、委員から「財源は政治の責任で確保すべきだ」との批判を受けました。
厚労省が提示したのは
・介護の必要度の低い人(軽度者)や高所得者の自己負担割合の引き上げ
・軽度者の生活支援サービスの縮小
・ケアプラン作成への自己負担導入
・現役保険料を収入に応じて決める「総報酬割り」の導入
などとなっています。
軽度者の負担については、2割への引き上げを想定しているとみられますが、「軽度者が利用を抑制し結果的に重度化を招く」と反対意見が相次いで出されました。
ケアプラン作成の自己負担については、「介護保険の入り口で利用を抑制しかねない」との懸念が出されました。
「社会保障審議会介護保険部会」は、この厚労省の提示を受け、来月に意見書をとりまとめることにしています。