アスベスト(石綿)によって肺がんや中皮腫になった被害者が原因に気付かずに死亡し、労災認定の時効(死後5年)を理由に補償請求権を失った場合について、厚生労働省は今月27日以降の時効は救済を延長せず、打ち切る方針であることが分かりました。
石綿粉じんによる肺がんや中皮腫の潜伏期間は20〜60年と長いために、患者が仕事との関係に気付かないことが多いようです。
05年に石綿報道が盛んになり、時効の多発が表面化したため、救済法で、06年3月27日の施行日前に時効になったケースは救済を規定し、施行日以降は「十分周知した」として救済対象にしなかった。しかしその後も「救われない時効」が相次ぎ、08年の改正で時限的に今月26日までの時効は救うと定めていました。
施行日前の時効も来年3月に救済されなくなります。
2006年に急性アルコール中毒で会社員の男性(当時25歳)が死亡したのは、過労で精神疾患を発症して酒を飲み過ぎたのが原因だとして、遺族が勤務先だったソフトウエア開発会社(東京)に1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁でありました。上田裁判長は業務と死亡の因果関係を認め、会社に約5900万円の支払いを命じました。
男性は2003年4月にシステムエンジニアとして同社に入社。2006年7月に携帯電話のシステム開発を担当する部署に異動しましたが、約2か月後に突然、さいたま市の自宅を出て、そのまま向かった京都市の鴨川沿いでウイスキーなどを大量に飲酒し、急性アルコール中毒で死亡したということです。中央労働基準監督署が2007年10月に労災認定していました。
遺族の代理人弁護士によりますと、精神障害を原因とする急性アルコール中毒死で企業の法的責任を認めた判決は初めてだということです。
裁判長は「男性の精神障害は、配置転換や月100時間を超える時間外労働で増大した心理的負荷が原因」と認定。その上で「過度の飲酒は、うつ病など精神障害による病的心理の下で起こった。会社は負荷を軽減せず、安全配慮義務を怠った」と判断しました。
菅直人首相は5日、首相官邸で開かれた社会保障改革に関する集中検討会議で、パートや派遣社員など非正規雇用労働者の厚生年金適用拡大に関し、「非正規労働の人たちに社会保険に入ってもらうことは、ほとんど合意ができている。全力を挙げてやってみたい」と述べました。厚生年金の加入条件をゆるやかにし、非正規雇用の労働者にも対象を広げる考えを示しました。 非正規労働者の多くは国民年金に加入します。十分な保険料が払えず将来、低年金や無年金となる恐れがあり、その対策が今回の社会保障改革の焦点の一つになっています。
ただ、もし条件が緩和されれば、企業の保険料負担増が見込まれるため、雇用促進の動きに逆行する可能性も考えられ、企業側の反対が予想されます。
厚生年金の加入要件は正社員の労働時間の4分の3以上で、大半の非正規労働者は国民年金の対象になります。だが、国民年金は月々の保険料(現行1万5100円)を40年間払い続けた満額でも受給額は月額6万6000円程度。総務省の労働力調査によると、10年(平均)の非正規労働者は1755万人と全雇用者(5111万人)の34・3%に達しているといいます。
工場作業中に指を切断したのは安全配慮義務を怠ったのが原因として、伊賀市内の男性が2日、住宅設備大手(愛知県常滑市)と業務請負会社(福岡市)に約2300万円の損害賠償を求める訴えを津地裁伊賀支部に起こしました。
訴状によると、男性は業務請負会社に雇用され上野緑工場(伊賀市)で働いていた平成20年9月、ユニットバスの樹脂生地のカット作業中に切断機にはさまれ、左手指2本を切断しました。事故当時、切断機には安全スイッチの上から粘着テープが張られ、スイッチが作動しないようになっていました。このため男性は、2社が作業上の安全配慮義務に違反していたとして、逸失利益や慰謝料などを求めました。
この事故で会社側は発生を労働基準監督署に報告せず、労災認定まで約1年半かかったといいます。
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田下憲雄)は、ビジネスパーソン意識調査『仕事に対する意識』に関して調査を実施、22日に発表しました。本調査は、2011年2月上旬に、ネットでのモニターのうち関東(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)の20〜59才のビジネスパーソン男女800名を対象にインターネット調査を行い、結果をまとめました。
ビジネスパーソンに『あなたは、何のために働いているか』を聞いたところ、大多数の人が「生活のため」(89.6%)、「お金を稼ぐため」(72.0%)と回答。次いで「自分を成長させるため」(31.4%)、「プライベートを充実させるため」(28.5%)となりました。
性別・年代別でみると、どの性別・年代も「生活のため」「お金を稼ぐため」がトップ2ですが、年代が若くなるに比例し、「お金を稼ぐため」の割合が高くなる傾向にあります。「自分を成長させるため」は男女20代の割合が高く、「プライベートを充実させるため」は男女30代の割合が高い。女性20代は「人とコミュニケーションをとるため」も他の年代より高い割合にあります。
男性は“年齢のリミット付き”で、女性は“可能な限り”働きたい傾向。女性40代では「すぐにでもリタイアしたい」も他の年代より多く存在しました。
『何歳くらいまで働きたいと思っているか』では、「65歳くらいまで」が最も多く24.0%、「60歳くらいまで」(21.8%)、「可能な限り働き続けたい」(19.6%)と続きました。性・年代別では、男性20代は「60歳くらいまで」、男性30〜50代と女性50代は「65歳くらいまで」、女性20代〜40代は「可能な限り働き続けたい」が最も多い。女性20代は回答が分散傾向で、人生設計を模索中の様子が見て取れる。ちなみに女性40代は「すぐにでもリタイアしたい」が他の年代より多く11.0%存在していることが分かりました。(単数回答)