民主、自民、公明3党は子ども手当廃止後の児童手当拡充案として、一律支給ではなく、3歳未満児に限定して支給額を上積みすることで基本合意しました。
3党の実務者協議では、3歳未満児は月1万3000円〜1万5000円、3歳〜中学生は一律月1万円とする方向で最終調整しています。
現行の子ども手当は、月額1万3000円で所得制限がありません。自公両党は5月、この子ども手当を9月までで廃止し、「中学生以下に月1万円支給・所得制限導入」を柱とする児童手当拡充案でいったんは合意しましたが、月1万円では、年収300万円〜800万円の3歳未満児世帯で逆転現象が起きることが判明しました。その理由として、2011年以降、所得税と12年6月以降の住民税の年少扶養控除の廃止により3歳未満児の世帯が減収となり、09年度以前の児童手当支給時よりも収入が減ってしまいまいます。
このため、3歳未満児に限り、月1万5000円を支給する案をまとめました。同案が実現すれば、
年収500万円までの3歳未満児世帯は12年度まで収入増となり、年収800万円世帯の減収幅も緩和されるとのことです。
コンビニが店長を管理職扱いして残業代を支払わないのは違法として、元店長=休職中=が、運営会社(東京都新宿区)を相手に、未払い残業代と慰謝料など計約450万円を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁立川支部でありました。
東京地裁立川支部は、職務内容や権限、待遇などから「店長は管理監督者に当たらない」として、残業代など計約164万円の支払いを命じました。
飯塚裁判長は、「店長自らレジ精算などを行うことが常態化しており、賃金も店長昇格前を超えることはなかった」と指摘しました。「長時間の過酷な労働が原因となって、うつ病を発症した」と述べました。
判決などによると、元店長は2006年9月から同社に正社員として入社。07年6月から店長に昇格しました。店長になった後、月80時間を超える残業が続きうつ病を発症。同年10月から休職したといいます。
判決は、労働基準法で制裁的意味を持つ「付加金」20万円も認めており、記者会見した原告側の弁護士は「付加金が認められるのは珍しい。会社側が非常に悪質だと判断した結果だ」と話しました。
同社は「主張が認められず残念。判決内容を確認し、控訴するか検討する」としています。
25日、居酒屋チェーン勤務の男性社員の死をめぐり、両親が「月80時間の時間外労働をしなければ賃金が減る制度により過労死した」として、経営会社(東京)側に計約1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が、大阪高裁でありました。坂本倫城(みちき)裁判長は経営会社とその社長ら役員4人に計7863万円の賠償を命じた一審判決を支持し、経営会社側の控訴を棄却しました。
判決によると、男性社員は2007年4月に入社し大津市内の店舗で調理などを担当していましたが、同年8月、京都市北区の自宅で就寝中に急性心不全のため24歳で死亡しました。死亡までの約4カ月間の時間外労働は月平均100時間超で、厚生労働省が定めた過労死認定基準(月80時間超)を上回りました。
控訴審判決は昨年5月の一審・京都地裁判決と同様に、坂本倫城裁判長は「過労の実情を放置し、何ら改善策を取らなかった」として男性社員の死を過労によるものと認定の上で大手企業トップの個人責任を再び認めました。
23日、経済産業省、厚生労働省と福島県は、福島第一原発事故による被災企業救済と被災者の雇用確保を目的とした復興支援策を発表しました。被災企業の中小企業に無利子での計421億円の融資のほか、緊急雇用創出基金の138億円を活用し、県内で2万人の新規雇用を目指します。
県商工労働部によると対象企業は、立入禁止となっている「警戒区域」、「計画的避難区域」、「緊急時避難準備区域」から県内の別の地域に移転して事業を続ける中小企業となっています。
融資は限度額3千万円で、無利子、無担保となっており、返済期間は最長20年間です。「特定地域中小企業特別資金」として、6月1日から受け付けを開始します。
福島県内で原発事故による避難が行われていない地域の中小企業についても、3年間のみ無利子で最高8千万円を融資する制度も新設しました。
この融資により民間での雇用を促すことに加えて、自治体の臨時職員として避難所における清掃業務や高齢者の病院送迎を雇い、2万人の雇用創出を目指しますとのことです。
菅直人首相は22日、6月末に決定する社会保障と税の一体改革でパートなど非正規労働者への健康保険・厚生年金の適用拡大など3分野を「安心3本柱」と定め、重点的に取り組む方針を固めた。自民党政権時代に実現できなかった政策を前面に出し、政権の求心力回復を図ります。23日夕に開く政府・与党の社会保障改革に関する集中検討会議(議長・首相)で検討を指示するといいます。
首相が一体改革で重点分野を具体的に指示するのは初めてです。
(1)中小企業の支援策をセットにした非正規労働者への社会保険適用拡大
労働時間が週20時間以上、勤務期間が31日以上の2点で収入は要件には加えません。
(2)社会保障と税の共通番号導入で医療・介護・保育などの自己負担額を捕捉し合計に上限を設ける「総合合算制度」の創設
(3)幼保一体化などの子育て支援
以上を「安心3本柱」とします。
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社会保障が手厚くなることについて、好ましいことではあることは間違いありません。
しかしながら、社会保険(健康保険・厚生年金)については、現行制度の下でも、中小企業・労働者の保険料負担は決して軽いものとは言えず、保険料の支払いに汲々とする中小企業も少なくありません。
確かに、「中小企業の支援策をセットにする」とはうたわれているものの、上記のような中小企業の現状の下で、また、国家的な財政難の状況にあって、果たして実現可能なものなのか・・・大変懸念されるところではあります。