厚生労働省は10日、サラリーマンが加入する厚生年金の10年度決算を発表しました。サラリーマンなどが加入する厚生年金の昨年度・平成22年度の決算は、長引く円高や東日本大震災後の株安などの影響による積立金の運用の損失が響き、2年ぶりに赤字となりました。
厚生労働省がまとめた、昨年度・平成22年度の厚生年金の決算によりますと、歳入は、時価ベースで39兆8469億円となり、前の年度よりも6兆7000億円余り減少しました。これは、円高などの影響で、国内の株式や海外の債券による積立金の運用の損益がマイナスとなったことが影響しています。一方、歳出は、高齢化の進展で年金の給付総額が増加したことなどから、40兆1151億円となり、歳入との差し引きでは2682億円の赤字となりました。厚生年金の決算が赤字となるのは、平成20年度以来2年ぶりです。一方、自営業者などが加入する国民年金の決算は、積立金の運用の影響が比較的少なかったことから、歳入が歳出を2195億円上回って2年連続の黒字でした。厚生労働省は「年金を安定的に給付するため、積立金の着実な運用や、保険料の納付率を向上させる取り組みを進め、財政を安定させたい」と話しています。
厚生労働省は「ねんきん定期便」について、現行郵便からインターネットを使って電子的に知らせる方法に移行する検討に入りました。電子化により、大幅なコスト削減が見込める上、いつでも最新の情報を見ることができるようになります。しかし、パソコンが不得手な高齢者への対応も必要になるため、完全な移行には時間がかかりそうです。
学識経験者などからなる「年金定期便・年金ネット・年金通帳等に関する検討会」を9日に立ち上げ、2011年11月をめどに今後の方向性について取りまとめます。ねんきん定期便は2009年から送付をはじめました。毎年1回、年金加入者に対して保険料の支払い状況を知らせています。毎年100億円近い経費がかかっており、内容も「わかりにくい」という批判が強いのが現実です。検討会では、効果的な記録情報の伝え方についても話し合う予定とのことです。
厚労省は「景気が回復して離職率が低下しましたが、入職率が上向くまでには至らなかった」と分析しています。
昨年の入職者数は前年比53万人減の631万人。離職者数は81万人減の643万人。
入職者のうち転職者の賃金をみると、前の仕事より増加した人は前年比3.7ポイント上昇の29.4%。一方、減少した人は2.2ポイント低下の32.3%となりました。
調査は常用労働者5人以上の約1万5000事業所を対象に実施し、有効回答率は69.2%とのことです。
改正された雇用保険法が2011年8月1日から、施行されました。5年ぶりに失業手当の給付の上限額が引き上げとなっており、再就職手当についても、従来より1割、給付率が引き上げとなっています。給付日数を3分の1以上残した場合は余った失業手当の50%、3分の2以上残した場合は60%が再就職手当として支給されます。
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厚生労働省が29日に発表しました6月の全国の有効求人倍率(季節調整値)は0・63倍で、5月よりも0・02ポイント回復しました。
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県は、震災の復旧・復興事業の増加で岩手0・47倍(前月比0・02ポイント増)、宮城0・53倍(同0・07ポイント増)、福島0・57倍(同0・07ポイント増)となり、2か月連続で3県すべてで回復しました。新規求人は、前年同月比12・6%増で、産業別では建設業(33・2%増)と情報通信業(20・2%増)の増加しました。
一方、総務省の発表によると、震災で調査ができない3県を除く6月の完全失業率(季節調整値)は4・6%で、5月よりも0・1ポイント悪化しました。完全失業者数は293万人で、前年同月比で36万人減少しました。
なお、沖縄県の6月の完全失業率(原数値)は7.6%、有効求人倍率(季節調整値)は0.28倍と、依然として厳しい現状があります。