年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は12月2日、2011年7〜9月期の運用実績を発表ました。欧州債務危機に伴う世界的な株安と円高の進行で、株式と外国債券の運用が振るわず、3兆7326億円の損失を計上したといいます。運用資産額も6月末から約4.9兆円減少し、108.8兆円となった。年金給付に直ちに影響はないが、運用資産が目減りすれば、運用で得られる収益が少なくなる恐れがあります。
赤字額は、リーマンショック直後の平成20年の第4四半期以降では最も多く、市場での自主運用が始まった平成13年度以降で4番目に多くなりました。独立行政法人では、「経済状況によって一時的に損失が出ることもあるが、年金積立金全体の累積収益額はおよそ19兆円のプラスであり、今回の赤字が、ただちに年金給付に影響を与えるものではない」としています。
「社会保障・税一体改革大綱」の具体化に向け、民主党の年金、医療・介護、生活保護の各作業チームは2011年11月29日、それぞれ報告書案をまとめました。
年金では、パートやフリーターら短時間労働者に厚生年金の適用を拡大するよう求めたほか、年金の給付額が本来より2・5%高くなっている「特例水準」の解消に取り組む考えを示しました。報告書案は、政府・与党が年末に策定する大綱のたたき台で、社会保障の安定財源を確保する消費税率10%への引き上げの前提となる施策と位置付けられています。
報告書案は30日の党厚生労働部門会議に示され、12月中の大綱策定に向けて党内議論が本格化します。党執行部は消費税増税に備え、負担増や給付抑制につながる見直しにさらに踏み込むよう求める可能性もあります。
厚生年金の適用拡大は、将来の低年金者や無年金者を減らす狙いがあります。労働時間が「週30時間程度以上」の場合に加入できる現行制度を見直し、「週20時間以上」に広げる方向です。これにより、約400万人が加入する見込みであるといいます。
ただ、パートらが多い小売業などでは適用拡大により保険料負担が新たに発生することに慎重論が多く、報告書案もこれらの業界を念頭に「激変緩和措置」を講じるよう求めました。
厚生労働省は24日、市町村が運営している国民健康保険に加入する低所得者の保険料軽減の対象を現行の年収223万円以下(3人世帯)から、約310万円以下(同)に拡大する見直し案を社会保障審議会の医療保険部会で示しました。
市町村国保の保険料は、加入者が定額を負担する部分と、所得に応じて負担する部分があり、軽減は定額負担について行われています。現行では、年収98万円以下で7割、147万円以下で5割、223万円以下で2割の負担減となっていますが、これを約310万円以下にまで拡大するといいます。
2011年11月15日に総務省統計局が公表した労働力調査(詳細集計)によれば、東日本大震災の影響で調査実施が困難となった岩手県・宮城県及び福島県を除く2011年7〜9月期平均の役員を除く雇用者は4,898万人、このうち正規の職員・従業員は3,168万人と前年同期に比べ50万人の減少があったことが分かりました。非正規の職員・従業員は1,729万人で、23万人増加しました。完全失業者は277万人、このうち失業期間が「3カ月以上」の人は188万人と41万人減少、「1年以上」は103万人と19万人減少しました。
労働力調査(詳細集計)とは、総務省統計局が雇用形態別雇用者数(正規・非正規雇用者など)・転職者数・仕事からの収入・仕事につけない理由・失業期間・就業希望の有無などの結果を四半期ごとに提供しているものです。
労働力調査:総務省 統計局
http://www.stat.go.jp/data/roudou/
労働力調査(詳細集計) 平成23年7〜9月期平均(速報)結果:総務省 統計局
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou2/4hanki/dt/index.htm
民主党は国会で継続審議中の労働者派遣法の改正案を大幅に修正する方針を固めました。
民主、自民、公明3党が「製造業派遣」や仕事があるときだけ雇用する「登録型派遣」を原則禁止する規定を削除することで大筋合意したことが2011年11月15日わかりました。自民党などの反発に配慮し、修正案から外すといいます。
臨時国会で審議を再開し、早期成立を目指ようですが、野党内には異論もあり調整は難航する可能性もあります。生産の繁閑の差が大きい自動車・同部品業界などは今回の禁止見送り歓迎しているといいます。