政府の自営業者向け労災保険に特別加入していた岡山県倉敷市の男性(当時66歳)が、アスベスト(石綿)による肺がんで死亡し、労災認定された際に、労働者向けの労災保険が適用されず、補償が大幅に減額されたのは不当などとして、遺族は国を相手に処分取り消しを求める訴訟を岡山地裁に起こします。
男性は岡山県玉野市の「山陽断熱」の労働者として1955年から77年にかけ、石綿含有の保温材の取り付けなどに従事した後、保温工事の自営業を始めました。91年に労災保険に特別加入ましたが、02年に肺がんと診断され、03年に死亡しました。
遺族は06年に労災補償を請求し翌年に認定されましたが、倉敷労働基準監督署は、発病直近の石綿を扱う職場での労災保険を適用するという原則を重視し、この男性は、自営業時代の労災保険と判断しました。
労働者と自営業の経験がある人が中皮腫になった場合、今回と同じく自営業の特別加入を適用されたことについて、行政不服申し立てをした結果、最終審査で不服が認められるケースが相次いでいます。
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