パートで働く月収10万円の女性が厚生年金に1年入ると、生涯にもらえる年金総額が17万3千円増える――。
厚生労働省が21日の社会保障審議会特別部会で、こんな試算を公表しています。正社員が中心の厚生年金を、短時間働く非正社員にも適用することを検討中で、加入者の利点を強調して適用拡大に理解を得る考えです。 保険料負担については、単身者やシングルマザーが減る一方、主婦パートは負担増となるなど世帯の就業形態によって大きな差が出ると試算。健康保険への加入で傷病手当金や出産手当金が受給できるようになる利点はありますが、新たな負担に理解を得られるかどうかが非正規労働者への加入拡大の鍵になりそうです。 月収10万円の46歳の女性が、厚生年金に1年入った場合、その間払う保険料と、将来受け取る年金総額がどう変わるかを計算したところ、加入期間が2年なら、保険料の負担額と年金額もそれぞれ2倍になります。 メリットが大きいのは、国民年金の「1号被保険者」として、定額の保険料(月約1万5千円)を払い、将来に基礎年金(満額で月6万6千円)を受け取る単身者や自営業者の妻ら。
厚生年金に入ると、給料の額に応じた保険料が事業主と折半になるため負担は月約8千円に減り、将来受け取る年金額は月500円余り増えます。46歳の女性が厚生年金をもらい始める64歳時点の平均余命(27年)でみると、生涯の年金総額が17万3千円増える計算だといいます。
しかしながら、導入に関しては、事業所負担の大幅な増加も予想され、現在ですら厳しい経営状況を強いられている中小企業にとってパートの社会保険加入問題は、かなりハードルが高いようにも思われるところです。