企業年金が新興国の株式など高利回りを目指す資産運用を拡大しています。海外株式と、不動産やヘッジファンドなどの投資額は、国内株式での運用額を超えました。
背景にあるのは運用成績の低迷。10年度の企業年金運用利回りは2年ぶりのマイナス。企業はこれまで予定利率の引き下げなどで対応してきましたが、上場企業全体で9兆円前後(昨年時点)に上る積み立て不足の拡大を防ぐには、予定利率を引き下げた企業でも年2〜3%程度の運用益が必要となります。
企業年金はかつては国内債中心に運用していましたが、1990年後半の規制撤廃を受けて株式への配分を増やした後、00年以降の株安で損失が膨らんだ経験もあります。安定的な年金給付原資の確保には、運用のリスク管理も重要となります。株安や低金利で積み立て不足が膨らむのを避けるため、各社とも運用内容の見直しを急いでいます。