2006年に急性アルコール中毒で会社員の男性(当時25歳)が死亡したのは、過労で精神疾患を発症して酒を飲み過ぎたのが原因だとして、遺族が勤務先だったソフトウエア開発会社(東京)に1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁でありました。上田裁判長は業務と死亡の因果関係を認め、会社に約5900万円の支払いを命じました。
男性は2003年4月にシステムエンジニアとして同社に入社。2006年7月に携帯電話のシステム開発を担当する部署に異動しましたが、約2か月後に突然、さいたま市の自宅を出て、そのまま向かった京都市の鴨川沿いでウイスキーなどを大量に飲酒し、急性アルコール中毒で死亡したということです。中央労働基準監督署が2007年10月に労災認定していました。
遺族の代理人弁護士によりますと、精神障害を原因とする急性アルコール中毒死で企業の法的責任を認めた判決は初めてだということです。
裁判長は「男性の精神障害は、配置転換や月100時間を超える時間外労働で増大した心理的負荷が原因」と認定。その上で「過度の飲酒は、うつ病など精神障害による病的心理の下で起こった。会社は負荷を軽減せず、安全配慮義務を怠った」と判断しました。
|