厚生労働省は14日、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度を廃止し、65歳以上は原則、市町村が運営する国民健康保険(国保)に加入する新制度を導入した場合をめぐり、3通りの試算を公表しました。いずれも公費(税)負担は年9000億円減る一方で、国保は最大で年9000億円の負担増となります。
新制度は、原則として65歳以上は国保に加入する案が有力ですが、サラリーマンら被用者保険に加入している本人と扶養家族の扱いは固まっていないため、高齢者医療制度改革会議に試算を提示しました。
公費負担を後期高齢者医療制度と同様、「75歳以上の医療給付費の5割」とした場合、65歳以上の全員が国保に加入するケースでは国保は9000億円の負担増になります。大企業の従業員らが加入する健康保険組合も1000億円負担が増しますが、中小企業の従業員らを対象の協会けんぽは2000億円の負担減となりました。
65歳以上のサラリーマンと妻ら被扶養者は、国保に移らず被用者保険に加入を続ける場合は、国保の負担増は6000億円で、協会けんぽも3000億円負担が増えました。妻ら被扶養者だけが国保に移るケースでは、国保の負担増は8000億円でした。
いずれのケースも公費負担は9000億円減ることから、厚労省は「負担の増減はかなり平準化できる」としています。
厚労省は5月に一般国民8000人を対象に意識調査を実施し、今夏に中間まとめをし、来年通常国会の法案提出を目指しています。
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