東京高裁は18日、旧黒磯市職員から「障害基礎年金の受給資格がない」との誤った説明で年金を受けられなかったとして、旧黒磯市(現那須塩原市)に住んでいた身体障害者の50代男性が、市などに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、職員の発言を不法行為と認定した上で、約1100万円の支払いを命じました。
2008年4月の一審東京地裁判決は請求を棄却しており、男性側の逆転勝訴となりました。
裁判長は、男性は1987年3月ごろ、市職員の誤った判断による発言で年金の受給申請を断念、受給可否の裁定を受ける機会を妨げられたと男性の障害者手帳の記録などに基づき判断し、時効で受給権を失った1982〜2000年の年金額相当分の賠償を命じました。
また、市職員の発言内容についても「男性を立腹させ、卑下したといえる内容。男性は返す言葉もなく引き下がった」と批判しました。
判決によりますと、87年3月ごろ、医師の助言で受給申請のため市役所を訪れた際、国民年金係の窓口担当者が確認もせず「申請は無理です。さらに手足が不自由になるか、車いすになるとかで障害が重くなればできますが」と男性に発言したとのことです。
男性は06年、同じ障害のある知人が年金を受けていると知り、再び申請し受給を認められましたが、2000年分以前の年金が時効で受け取れませんでした。
那須塩原市は「対応を一任している国と協議して、今後の方針を決めたい」とコメントしています。
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