保険診療と保険外診療(自由診療)を併用する「混合診療」を受けると、本来は健康保険が適用される診療も含めて治療費全額が自己負担となる制度の是非が争われた訴訟の控訴審で、東京高裁は先月29日、「運用は妥当」と判断しました。その上で、原告に保険給付を受ける権利を認めた1審判決を取り消し、請求を棄却する逆転敗訴を言い渡しました。
控訴審では、84年の健康保険法改正で混合診療を一部認める例外規定が盛り込まれたことを巡る法解釈が最大の争点でした。判決は「認められたもの以外の混合診療は禁止されていると解釈すべきだ」と指摘し、国の運用を妥当と認めました。原告側は「患者が希望する治療を選択する権利を奪い、憲法が保障する生存権などを侵害している」とも主張していましたが、「医療の安全性確保などから、合理性を欠くとは言えない」と退けました。
訴訟は健康保険法に明文上の禁止規定がない混合診療について、国が法解釈で原則禁止にできるかが争点となっていました。原告側は上告する方針です。