対人関係のトラブルや過労から、鬱病などの精神疾患にかかり、平成22年度に労災申請した人は前年度より45人増の1181人で、2年続けて過去最多だったことが14日、厚生労働省のまとめで分かりました。労災認定された人も74人増えて308人で過去最多。同省職業病認定対策室は「職場でのストレスが増大しており、特に人間関係の摩擦が増えている」と分析しています。
厚労省によると、精神疾患による労災申請の多い業種は社会福祉・介護が85人、医療84人、情報サービス59人の順で、認定数も同じ傾向になっています。精神疾患になった人のうち、未遂を含む自殺は申請段階で171人、労災認定が65人でした。
認定された308人について、発症の原因や引き金となった「出来事」をみると、「その他」の50人を除き、「仕事の内容・量に大きな変化があった」が41人(うち自殺12人)で最も多く、次いで、「嫌がらせやいじめを受けた」39人(同5人)、「悲惨な事故や災害を体験」32人(同0人)となっています。
脳梗塞など脳・心臓疾患で労災申請した人は35人増の802人で、4年ぶりに増えました。認定は8人減の285人。うち、死亡で認定された人は113人で、7人増えました。
脳・心疾患の労災認定が多い業種は、貨物運送(宅配やトラック運送)57人、旅客運送(バスやタクシー)17人などです。認定された人の1カ月の平均残業時間は80〜100時間が最も多く92人となっています。100時間以上が計148人に上り、うち160時間以上も20人いました。
当初は労災と認められず、審査請求などを経て逆転認定されたのは、精神障害で15人(うち自殺7人)、脳・心疾患で11人(うち死亡6人)です。
今回のまとめに東日本大震災に関連した申請はないが、同省は「大きな災害を体験し突然死や精神障害になり、今後労災申請が増える可能性はある」としています。
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