厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会(労政審)の分科会は、パートや
契約社員など雇用期間が定められた有期労働契約に関する規制強化策の検討
を始めました。正社員と比較して、雇用が不安定かつ待遇も低くなりがちな有期
契約労働者に対する権利保護を強化することが狙いとされています。
法改正を含めた具体策を検討した上で、2011年度中に結論を出す見通しです。
有期労働契約をめぐっては、厚労省の研究会が9月に問題点や検討課題を上
げた最終報告をまとめていました。この報告は、規制強化の具体策として、有期
労働契約が特定時期に生じる一時的な業務以外には認めない「入り口規制」と、
現在無制限になっている契約更新回数を制限する「出口規制」の双方を例示した
ものです。入り口規制はフランス、出口規制は英国やドイツで採用されており、労
政審はこれらを参考として具体策を協議することとしています。
また、有期契約労働者が特定企業と雇用契約を繰り返し更新してきたにもかか
わらず、合理的な理由なしに「雇い止め」になったケースに対して「無効」とする判
例が確立しています。今後は判例を参考にして、雇い止めを制限するルールの法
制化なども検討課題となります。
2008年のリーマン・ショック後の雇い止めなどが相次いだため、有期労働への
規制強化を求める声が強まっていますが、経済界からは「規制強化は生産拠点の
海外流出や中小企業の廃業に拍車を掛け、かえって雇用情勢を悪化させる」といっ
た批判も多いのが現状です。規制の大幅強化を主張する労働側と、経営側の主張
が対立し、調整が難航する恐れもあるとみられています。
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