企業が経営環境の悪化を理由に一方的に内々定を取り消したのは違法として、元学生の男女2人が不動産会社(福岡市)に慰謝料など計495万円を求めた訴訟の判決が2日、福岡地裁でありました。岩木宰(おさむ)裁判長は「内々定取り消しは原告の期待を裏切り違法。原告に誠実に対応したとは言い難い」として同社に計195万円の支払いを命じました。原告側の弁護士によると、内々定の取り消しに慰謝料支払いを命じた判決は全国初とのことです。
判決によると、2人は2008年5〜7月、それぞれ同社の適性検査や面接などを経て内々定を得て、会社側に要求された入社承諾書を提出しました。2人は就職活動を終了させましたが、正式な内定通知を受け取る予定だった10月1日の2日前「サブプライムローン問題や原油などの暴騰の複合的要因による経営環境の悪化」を理由とする内々定取り消しの書面が届いたとのことです。
岩木裁判長は判決理由で、内々定を「正式内定までの間、企業が大学卒業予定者を囲い込み、他企業への就職を防ごうとする活動」と規定。正式内定とは異なり、内々定で労働契約は成立しないとし、また一方で「内々定を得た学生が採用に期待するのは当然」と述べ、「同社にリーマン・ショックなどが経営に直接影響するとの認識があったかは疑わしく、学生への現実的な影響も十分考慮していない」と断じました。
原告の男女はこの問題を巡り09年1〜4月、労働審判を福岡地裁に申し立てました。同社側に2人への「解決金」として、計175万円を支払うことを命じましたが、会社側は異議を申し立て、訴訟になっていました。
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