トヨタ自動車労働組合の幹部は「労使協定を結んだからといって、いざ運用が始まったらどうなるかわからない。結果的に社員は残業代ももらえないし、休みも取れないということにもなりかねない」とし、また、厚生労働省は、「代替休暇は1か月60時間を超えた月末の翌日から、2か月以内に取得する必要がある。また残業代を全額受け取るか、代替休暇を取得するかは社員の意思による」と必ずしも企業に優位な制度ではないといいます。
これから労使協定を結ぶ企業が少なくない中で、トヨタ自動車労働組合は会社側との協議を経て、代替休暇の導入は見送り、50%の割増賃金(残業代)をもらうことで決着しました。
トヨタ自動車労働組合は、「残業代というのは、働いた分きちんと賃金でもらうもの」とし、「年次有給休暇に合算できるとはいえ、時間単位で取得する代替休暇は職場になじまない。工場などの生産ラインは休みがとれる部署とそうでない部署が出てきて、かえって不公平になる」ということと、残業時間を増やさない制度として、すでに休日出勤の「振替休日」を用意していて、取得している人がいることもある、というのが見送りの理由と説明しています。
代替休暇は、今月4月1日から労働基準法の改正に伴い導入された制度で、月60時間を超える残業時間について、基本的には50%以上の割増率の割増賃金の支払いが必要になりましたが、このうち25%を超える部分について、有給の休暇の付与を行うことで支払ったこととみなす制度です(労使協定の締結が必要)。ただし、この制度に関し、中小企業については当面の間(3年間)は適用猶予(適用されないこと)になっています。
詳しくは、こちらをご覧下さい。
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