NECの部長だった男性(当時52歳)がうつ病を発症して00年に自殺したのは過重労働が原因として、妻(54)が、労災と認めず遺族補償年金を不支給とした三田労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は11日、労災と認め「自殺は過労によるうつ病が原因」として処分を取り消しました。
青野洋士裁判長は判決理由で、元部長は自殺までの約8カ月間、ほぼ月に100時間以上残業していたと指摘。さらに、「達成困難なノルマ、中心的な役割の部下の異動などで強い心理的負荷があった」とし、うつ病の発症や自殺が、業務によるものと認めました。
判決によると、 旧防衛庁調達実施本部の背任事件(98年)の影響で99年3月期、約2200億円の赤字を計上したNECは当時、収益の見込めない部署を整理する方針でした。この部長のソフトウエア開発を担当する部署は検討対象とされていました。そのころ、長時間労働が続いて00年1月ごろにうつ病を発症、同2月に「万策尽きました。会社へ 責任をとります」と書き残して自宅近くのビルから飛び降り自殺しました。妻は労災遺族補償年金を請求しましたが、03年に退けられていました。
妻の代理人は「上場企業の部長という裁量性の高い地位の労働者について、恒常的な長時間労働の心理的負荷を正面から認めた判決で意義深い」としています。
三田労働基準監督署は「判決内容を検討し、関係機関とも協議した上で今後の対応を判断したい」とコメントしています。
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