長時間勤務の結果、過労で脳に障害を負い、意識不明の寝たきり状態になったとして、鹿児島県鹿屋市の元ファミリーレストラン支配人、松元洋人さん(35)と両親が、店を経営する康正産業(鹿児島市)に約3億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、鹿児島地裁でありました。山之内紀行裁判長は過労と症状の因果関係を認め、「過酷な労働環境を漫然と放置した」と、会社側の安全配慮義務違反を認定し、将来の介護費用や未払い賃金など総額約1億9400万円の支払いを命じました。
原告側弁護士によると、過労障害を巡る賠償額としては、約2億円の支払いを命じた大阪地裁判決(08年4月)に次いで2番目に高額となります。賠償額には、症状固定が認定された31歳の時から余命46年分の介護費のほか、介護する両親に対する慰謝料も含まれています。
松元さんは2001年11月に正社員に採用され、2003年9月から支配人として鹿屋市内の店に勤務。人手不足の中、接客や食材の仕入れ、パートの募集・面接、会計処理などに追われ休日返上で働いていましたが、管理職扱いのため残業代は支給されませんでした。
2004年11月10日未明、帰宅後に心臓発作を起こし、低酸素脳症で意識不明となったということです。
発症までの半年間の時間外労働は月平均約202時間に上り、労災認定基準の発症1か月前の約100時間の2倍を超えていました。鹿屋労基署は2006年1月に労災認定し、休業補償などの支給を決定していました。
山之内裁判長は判決で、「会社の長時間労働に対する無関心ともいえる姿勢と、一切の残業代を支払わない労務体制が原因」と指摘しました。
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