厚生年金の受給資格を満たしているのに、社会保険事務所の説明ミスによって7年間無年金となった千葉県の男性が国に年金支給の遅延損害金など約490万円の支払いを求めた裁判で、国が「窓口で説明を誤っても責任があるとはいえない」との主張を撤回することがわかりました。社保庁の説明ミスが原因で無年金となった人も少なくないとみられ、他の無年金者の救済にも影響を与えるとみられています。
23日の口頭弁論を前に、原告の代理人に「違法性、因果関係、国の責任に関する国の主張を撤回する」との準備書面が国から届いたとのことです。賠償額などを争う主張は撤回していません。厚生労働省幹部は「多大なご迷惑をかけた責任を認めるのは当然だ」と話しています。解決金の額など具体的な和解内容については今後詰めるそうです。
宮本さんは遅延損害金の利息について、国が保険料を滞納した人に課す年14.6%を適用するよう求めていますが、国は民法の規定に基づき、年5%を適用するなど、解決金の減額を求める見通し。
宮本さんは01年、千葉県内の社保事務所へ受給申請に訪れた際、厚生年金の受給に必要な加入期間(宮本さんの場合は240カ月)を満たしていましたが、職員が217カ月と計算ミスしたうえ、「受給資格は300カ月必要で期間不足」と言われました。昨年10月まで無年金となり、今年3月、国に損害賠償などを求め東京地裁に提訴。7月の口頭弁論で国は「(窓口での)回答は被保険者へのサービス」「誤った説明はただちに国家賠償法上で違法と認められるわけでない」などと主張していました。
生活苦から、車で寝起きする生活を続けているという宮本さんは「政権交代で、年金問題を追及してきた長妻さんが厚生労働相になった。一日も早く裁判を終わらせ、私と同じような悩みを抱えている年金受給者を救ってくれることを期待している」と話しています。
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