派遣労働者の労災を厚生労働省に報告した数字が派遣元と派遣先で食い違い、派遣先報告の死傷者数が派遣元より約2割少ないことが同省の集計で26日にわかりました。
厚労省によると、派遣先と派遣元の双方に義務付けられている「労働者死傷病報告」(死亡又は休業4日以上が必要な事故の報告)で、昨年派遣元からの報告数5631人に対し、派遣先からは4574人で1057人少なくなっています。これは労災現場側の企業が提出を怠ったのが主な原因と思われます。
厚労省は、「一概には言えないが、派遣先の責任者が人事評価への影響や違法な働かせ方の発覚を恐れて報告しない可能性の他、労働者自身が仕事がなくなることを心配して派遣先に連絡しないケースもあり得る」と推測しています。
製造業などの工場で派遣労働者の労災事故が急増していますが、軽微な事故は表に出さないなど、企業側の労災隠しが横行しているとの指摘もあります。東京都郊外の自動車工場で派遣として働いていた男性は、業務上のけがを正社員に報告すると、「工場長に言うと、派遣契約の更新はない。自分の不注意としておいた方が長く働ける。」と忠告され、労災の申請はせず、病院にも行かなかったといいます。
派遣先の報告が少ないと、再発防止に向けた労働基準監督署の指導や監督が行き届かない恐れがあり、厚労省では今後監視を強化するとともに、派遣元と派遣先の所在地が離れている等で報告する労基署が異なり、書類を照合して報告の有無を確認する手間が煩雑なこれまでの報告様式を改めるなどの改善策を検討するとしています。
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