日本労働弁護団は17日、派遣社員から寄せられた労働相談や職場でのトラブルなど71件の事例をまとめた「派遣労働酷書」を発表しました。
不況が深刻化した昨秋以降、解雇や派遣先での嫌がらせ、差別など派遣労働の厳しい状況が浮き彫りになっていることを受け、同弁護団などに寄せられた相談の中から71事例を特徴ごとに「酷書」にまとめました。
71件の中で最も多いのが、「派遣切り」や「雇い止め」といった不安定雇用で37件を占めました。「9年間同じ職場で正社員同様に働いてきたが、雇い止めされた」と急な失職に困惑するケース、実際の仕事は電話対応など一般事務全般なのに派遣法で雇用期間に制限のない「専門業務」と偽り、派遣労働者を違法に長期間雇うケースなどが目立っています。
派遣先の社員からセクハラやパワハラを受けたケースは8件で、このほか、休日がないといった待遇差別などの事例も記載されています。
政府と野党3党が、それぞれ国会に提出した改正労働者派遣法案は廃案となる見通しですが、同弁護団は「派遣社員は弱い立場に立たされているのに、派遣会社、派遣先ともに雇用責任を果たしているとは言えない。このような実態を踏まえ、労働者派遣法の改正論議をしてほしい」と話しています。
酷書は、A5判20ページで、希望者に1冊100円で販売するとのことです。
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